日本大百科全書(ニッポニカ) 「経済同盟」の意味・わかりやすい解説
経済同盟
けいざいどうめい
economic union
経済的、政治的あるいは地域的に密接な利害関係を有する国々が、自由貿易協定(FTA)や関税同盟、共同市場などの段階よりもなおいっそう緊密な経済協力関係を樹立しようとして結成する同盟をいう。加盟国間で関税、数量制限など貿易障壁を撤廃して自由貿易を進めるだけでなく、労働力、資本などの生産要素の移動も自由化し、さらに金融、通貨、財政などの経済政策の調整も行う。加盟国間に経済政策の不一致が存在すると、貿易や労働力、資本などの移動の自由化の効果も阻害される。したがって経済統合を強力にするためには加盟国間の経済政策の調整が必要であり、この意味で経済同盟は、関税同盟や共同市場よりも経済統合がいっそう進んだ段階といえる。現在のEU(ヨーロッパ連合)は加盟国が27か国となり、経済同盟の段階から経済通貨統合さらに共通の外交・安全保障政策や警察・刑事司法協力など、経済のみならず政治的な統合も進展している。ヨーロッパ単一通貨ユーロは、1999年にEU加盟国のうち11か国で決済通貨として導入され(2001年からは12か国)、2002年1月から貨幣として流通し始め、2009年1月現在16か国が参加している。
[秋山憲治]
『青木健・馬田啓一編著『地域統合の経済学』(1999・勁草書房)』▽『田中友義著『EUの経済統合』(2001・中央経済社)』