統計流体力学(読み)とうけいりゅうたいりきがく(その他表記)statistical fluid mechanics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「統計流体力学」の意味・わかりやすい解説

統計流体力学
とうけいりゅうたいりきがく
statistical fluid mechanics

流体の不規則な運動である乱流を統計的方法を用いて研究する流体力学の一分野。流体の速度圧力は流体力学の法則に従うが,乱流状態では時間的,空間的に不規則に変動するので,その変動,すなわち乱れは分布関数特性関数相関,エネルギースペクトルなどの統計量を用いて記述される。基礎方程式は E.ホップの特性汎関数方程式で与えられるが,実際の取扱いでは相関やエネルギースペクトルに関する法則の導出が中心課題となる。 A.N.コルモゴロフは乱れの局所等方性を仮定して,乱れのエネルギースペクトルが波数の -5/3 乗に比例することを導いた。この法則は大規模な乱流に対して成り立つことが実験的に確かめられている。

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世界大百科事典(旧版)内の統計流体力学の言及

【流体力学】より

…航空機の高速化は第2次大戦の前後から今日にかけて音に近い流れ,超音速,さらに極超音速の流れの研究を促進した。現在の流体力学は,乱流や微粒子の混合体のように統計的処理を必要とする統計流体力学,分子運動論の助けを借りる必要のある希薄気体力学,さらに電離気体や反応性気体のように,電磁現象,化学現象など力学の範囲を離れた取扱いが必要なものも対象としており,単純な流体でなく広義のあらゆる流れの現象を包括する体系をめざしている。電磁流体力学流れ粘性乱流【橋本 英典】。…

※「統計流体力学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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