統計量(読み)とうけいりょう(その他表記)statistic

翻訳|statistic

改訂新版 世界大百科事典 「統計量」の意味・わかりやすい解説

統計量 (とうけいりょう)
statistic

ある一定の確率法則に従っていろいろな値をとる変数確率変数という。たとえば,母集団から無作為にとったn個の標本x1,……,xnは母集団分布に従うn個の確率変数である。統計的推測には,

など,x1,……,xnから作った少数指標が用いられる。このxSのように確率変数xi関数で未知パラメーターを含まないものを統計量と呼ぶ。統計量もまた一つの確率変数であって,その確率分布は元の確率変数の分布から導かれる。とくに正規分布N(μ,σ2)の場合には,x1,……,xnの代りに二つの統計量xSを知ればμ,σ2の推測のための情報が失われないことが示される。このように1組の統計量が未知パラメーターに関する情報をすべて含むとき十分統計量という。標本全体x1,……,xnも1組の十分統計量だから,要素数最小の十分統計量の組という概念が重要である。これを最小十分統計量という。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の統計量の言及

【数理統計学】より

…銅貨投げの場合,nが大きいとき,大数の法則によりpqに十分近い値をとる。 標本平均以外にも標本の関数であって,母集団の特性を記述するものがたくさんあり,総称して統計量と呼ばれる。種々の統計量を選び,その確率分布をみて,母集団のパラメーターの推定を考えたり,統計的な仮説の検定を行うのが推測統計学(推計学ともいう)の目標である。…

【標本分布】より

…数理統計学において,統計量の分布をいう。有限個の要素を含むある集合が与えられたとき,この集合から1個の要素を無作為に選び出し,その要素のある特性量ξの値を観測しそれを再びもとの集合にもどす。…

※「統計量」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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