絵草紙屋(読み)えぞうしや

精選版 日本国語大辞典 「絵草紙屋」の意味・読み・例文・類語

えぞうし‐や ヱザウシ‥【絵草紙屋】

〘名〙 絵草紙出版して販売する店。絵屋。また、その人。
浮世草子・傾城太々神楽(1705)三「此比はゆびきりの心中のといふ事は木抓(こまざらへ)であつめるほどあれば、絵草紙屋もふるくさいとて板行せず」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「絵草紙屋」の意味・わかりやすい解説

絵草紙屋
えぞうしや

絵草紙の小売りの店を絵草紙屋という。絵草紙は挿絵を多く入れた大衆向けの読物で、絵草紙問屋から仕入れた。絵草紙は本屋や草紙屋で出版されていた。18世紀ころからこうした出版は盛んとなった。錦絵(にしきえ)が刊行されるようになると、それも絵草紙屋で取り扱ったが、絵専門の絵屋も現れてきた。錦絵の版元は一般の本屋とは別であった。17世紀から18世紀にかけては絵草紙売りというのがあった。これは、世上の事件などを一枚刷りにし、それを小歌につくり、浄瑠璃(じょうるり)に節付けして街頭で読み上げながら売り歩いたものであるが、人々は争って求めたという。抜け目のない商売である。瓦(かわら)版の読み売りも、これと結び付くものである。

遠藤元男


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世界大百科事典(旧版)内の絵草紙屋の言及

【本屋】より

…したがって〈物の本屋〉=本屋は,宗教書,学問書,教養書などの書物を商う者の称であった。これに対して,娯楽的な書物は草紙(草子)といわれ,これを商う者は草紙屋,絵草紙屋と称された。江戸時代には総称して本屋ともいったが,正式には取扱い品目,名称が区別されていた。…

※「絵草紙屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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