絵草紙屋(読み)えぞうしや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「絵草紙屋」の意味・わかりやすい解説

絵草紙屋
えぞうしや

絵草紙の小売りの店を絵草紙屋という。絵草紙は挿絵を多く入れた大衆向けの読物で、絵草紙問屋から仕入れた。絵草紙は本屋草紙屋出版されていた。18世紀ころからこうした出版は盛んとなった。錦絵(にしきえ)が刊行されるようになると、それも絵草紙屋で取り扱ったが、絵専門の絵屋も現れてきた。錦絵の版元は一般の本屋とは別であった。17世紀から18世紀にかけては絵草紙売りというのがあった。これは、世上の事件などを一枚刷りにし、それを小歌につくり、浄瑠璃(じょうるり)に節付けして街頭で読み上げながら売り歩いたものであるが、人々は争って求めたという。抜け目のない商売である。瓦(かわら)版の読み売りも、これと結び付くものである。

遠藤元男


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android