網切騒動(読み)あみきりそうどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「網切騒動」の意味・わかりやすい解説

網切騒動
あみきりそうどう

1855年(安政2)西蝦夷(えぞ)地(北海道西半部)の鰊(にしん)漁場で起こった漁民騒動。江差(えさし)周辺地域の漁民が、蝦夷地の場所請負人らの大網による大量漁獲が凶漁の理由だとして蜂起(ほうき)。乙部(おとべ)、熊石(くまいし)(現、八雲町)などの漁民500人ほどが漁船で西蝦夷地各漁場を襲い、大網を切り破りつつ北上し、積丹(しゃこたん)半島東岸の古平(ふるびら)にまで至り、幕吏に鎮められたもの。このあとも、江差町役場への大網禁止強願が、同年秋、翌1856年正月と繰り返されている。箱館奉行所(はこだてぶぎょうしょ)が事情の調査などにあたったが、幕府は、大網による漁業経済の発展を主張する場所請負人らの請願を認め、大網1統につき3両の冥加金(みょうがきん)を徴し、零細漁民の救済資金とすることを条件に大網は許可されることとなった。

田端 宏]

『『松前町史 史料編 第2巻』(1977・松前町)』

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