積丹(読み)しゃこたん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「積丹」の意味・わかりやすい解説

積丹(町)
しゃこたん

北海道西部、後志(しりべし)総合振興局管内の町。積丹半島の先端部を占め、日本海に面する。1956年(昭和31)美国(びくに)町と入舸(いりか)、余別(よべつ)の2村が合併して成立。国道229号が通じる。「積丹」はアイヌ語のシクコタンまたはサヤコタン(夏の村、夏の場所の意)から転訛(てんか)したもの。町域の大部分は積丹岳(1255メートル)、余別岳(1298メートル)の山地で占められ、積丹川、美国川、余別川などが開析している。海岸には積丹岬神威岬(かむいみさき)があり、ニセコ積丹小樽(おたる)海岸国定公園に含まれ、前記の2岬とビヤノ岬付近の海岸は小樽海岸とともに道内唯一の海域公園に指定されている。キャンプ場や「サクラマス・サンクチュアリーセンター」もあり、夏には観光客が多い。1821年(文政4)ごろから和人定住が始まり、1917年(大正6)ごろまでニシン漁で栄えた。現在も漁業が中心で、イカ、スケトウダラヒラメウニなどを漁獲する。丘陵地では肉牛乳牛、ブタの飼育が盛んで、ジャガイモ、カボチャなどの農産物もある。面積238.13平方キロメートル、人口1831(2020)。

[瀬川秀良]


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改訂新版 世界大百科事典 「積丹」の意味・わかりやすい解説

積丹[町] (しゃこたん)

北海道西部,後志(しりべし)支庁積丹郡の町。人口2516(2010)。日本海に突出する積丹半島の先端部を占め,南部に余別(よべつ)岳(1298m),積丹岳(1255m)がそびえ,山地が多く,広葉樹林の国有林が広い。集落は海岸沿いおよび積丹川流域に点在し,中心は美国(びくに)である。1706年(宝永3)美国,積丹(現,野塚付近)に場所(交易所)が置かれてニシン漁で栄え,松浦武四郎の《西蝦夷日誌》では西蝦夷の繁昌場所7ヵ所の一つに数えられている。昭和に入ってニシン漁は減ったが,余別,美国のほか5漁港があり,スケトウダラ,イカの水揚げが多く,近年はウニ,アワビの種苗放流,大規模養殖漁場の造成などが行われている。農業酪農,肉牛飼育を主とし,国営農用地開発事業の進展に伴って伸びている。《ソーラン節》発祥の地といわれる。海岸部はニセコ積丹小樽海岸国定公園に指定され,積丹岬神威(かむい)岬などの景勝地が多い。国道229号線が余市(よいち)へ通じる。
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百科事典マイペディア 「積丹」の意味・わかりやすい解説

積丹[町]【しゃこたん】

北海道積丹郡の町。積丹半島の先端部を占め,美国(びくに),入舸(いりか),余別の漁港がある。ウニの種苗中間育成などの漁業,酪農を中心とした農業を行う。大正年間まではニシン漁で栄えた。神威(かむい)岬など断崖絶壁の海岸はニセコ積丹小樽海岸国定公園に属する。238.14km2。2516人(2010)。

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