改訂新版 世界大百科事典 「網度持」の意味・わかりやすい解説
網度持 (あんどもち)
網度とは網処,網所の意で,網(立網)漁場のことであろう。網戸,網地も同義か。網度持とは網漁場所持者のことで,具体的にはその収益権者のこととなる。江戸期,伊豆内浦の場合,網度とは,多く1網組の半単位(大網2帖のうち1帖)の収益権をさしている。網度持はその収益権(株化して分割される)をもつとともに,網戸浮役をその持分に応じて負担する(《豆州内浦漁民史料》)。西浦の場合,江梨村には瀬洞,来海洞の2網戸場があり,おのおの津元(網漁を支配する,多くは網戸の開発者の子孫,網戸持の代表者)の名を冠した4網組が漁期の間,2網戸場を2網組ずつ(4網組を東西2組に分ける)2日交替,1網戸場については2網組が1日交替で操業していたようである。幕末には網度持,津元と網子の間で得分の割当てをめぐって係争があり,惣百姓共有への動きもみられるようになった。
→網組
執筆者:五味 克夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報