網状皮斑(読み)もうじょうひはん(リベドー)(その他表記)Livedo reticularis

六訂版 家庭医学大全科 「網状皮斑」の解説

網状皮斑(リベドー)
もうじょうひはん(リベドー)
Livedo reticularis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 赤紫色の樹枝状(じゅしじょう)もしくは網目状の模様が主に下肢にみられるものです。皮膚の末梢循環障害による症状のひとつで、リベドーと呼ばれています。赤外線ストーブこたつなどによる下肢の褐色色素沈着を伴った“ひだこ”とは、一応区別されるものとされています。

原因は何か

 寒冷やさまざまな基礎疾患によって血液の流れが悪くなり、酸素含有量の少ない血液がたまることで、毛細血管の拡張や皮膚の赤紫色の網目状変化が起こります。

症状の現れ方

 ①大理石様(だいりせきよう)皮膚、②網状皮斑、③樹枝状皮斑の3つのタイプに分類されます。

 ①は小児や若い女性に一過性冬期の寒冷刺激によって生じ、環が閉じた網目模様をつくります。②と③は持続性で症候性(原因になる病気がある)のものが多く、②は寒冷とは関係なく網状の構造は完全に閉鎖し、皮疹が持続します(図12)。③は網状が途切れて樹枝状の構造をしています。

 さまざまな基礎疾患(血管炎や膠原病(こうげんびょう)クリオグロブリン血症に伴うものなど)によって小動脈に炎症が生じた状態です。症状が進行すれば血管の器質的変化を起こし、皮膚炎潰瘍になることもあります。

検査と診断

 診断は容易ですが、原因を追究することが重要で、全身性疾患との関連に注目することが大切です。

治療の方法

 リベドーだけの場合は保温マッサージ、弾性包帯など、うっ血の防止が主体になります。症候性のものは原疾患の治療が第一です。

病気に気づいたらどうする

 いずれのタイプにしても、リベドー症状を生じる人は、元来血管系が不安定と考えられ、ちょっとした打撲擦過(さっか)内出血を起こす可能性があります。皮膚科専門医の診察を受けることをすすめます。

妹尾 明美


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「網状皮斑」の意味・わかりやすい解説

網状皮斑 (もうじょうひはん)
livedo reticularis

皮膚に網目状の紅斑を生ずる病気の総称。主として四肢,とくに下肢に発生しやすい。皮膚の小動脈の内腔がせまくなり,小静脈が拡張し,皮膚末梢の血液循環障害が起こるために生ずると考えられている。大理石様皮膚cutis marmorataと分枝状皮斑livedo racemosaの2種類に分類され,その中間に細網状皮膚と呼ばれる種類がある。大理石様皮膚は俗に〈ひ(火)だこ〉と呼ばれるもので,冬にストーブ,あんか,こたつなどの暖房器具の温熱にさらされて温められていた部分に,大理石の紋のような網目状の赤褐色斑を生ずる。変化は一過性で,春になるとしだいに消失するのが普通である。また同様の病変が,高温にさらされる職業に従事する人の露出部皮膚に生ずることがある。分枝状皮斑は持続性で,樹木の枝のような赤褐色斑を生ずる。小さいしこりや潰瘍を伴うこともある。特別の原因がない場合もあるが,膠原(こうげん)病,循環器疾患などの病気が基礎にあることが多いので,病院の精密検査をうける必要がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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