総合特区制度(読み)そうごうとっくせいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「総合特区制度」の意味・わかりやすい解説

総合特区制度
そうごうとっくせいど

地域を限定して規制緩和、税制優遇、財政支援、金融支援などを包括・集中的に実施し、地域経済の成長力を高める仕組み。正式名称は総合特別区域制度。民主党菅直人(かんなおと)政権が2010年(平成22)6月に新成長戦略の柱として創設を決めた。2011年6月に成立した総合特別区域法(平成23年法律第81号)に基づき、2011年12月から指定が始まった。指定期間は2018年度までとなる。総合特区には、産業集積によって国際競争力の強化を目ざす「国際戦略総合特区」と、子育て支援や交通網整備などで地域の活力を高める「地域活性化総合特区」の2種類がある。国家戦略総合特区では設備などを取得した際に法人税の特別償却税額控除を受けられ、地域活性化総合特区では社会的活動を行う中小企業に個人が出資した場合に所得控除を受けられる。2016年7月時点で、国際戦略総合特区では、「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」など計7件、地域活性化総合特区では「レアメタル等リサイクル資源特区(秋田県)」、「九州アジア観光アイランド総合特区」(九州)など計41件が指定されている。

 日本では総合特区制度のほか、2002年に小泉純一郎政権が創設した構造改革特区制度、2011年の東日本大震災の被災地で雇用、住宅、街づくりなどに特例措置を設ける復興特区制度、第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権が2013年に創設を決めた国家戦略特区制度などがある。総合特区制度は、それまでの構造改革特区制度と異なり、個々の規制緩和だけでなく、複数の規制緩和、財政・金融上の支援策などを組み合わせた点に特徴がある。

[矢野 武 2016年11月18日]

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