所得控除(読み)ショトクコウジョ

デジタル大辞泉 「所得控除」の意味・読み・例文・類語

しょとく‐こうじょ〔‐コウヂヨ〕【所得控除】

課税所得金額を算出するにあたり、所得金額から一定の金額を控除すること。基礎控除扶養控除社会保険料控除など。

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精選版 日本国語大辞典 「所得控除」の意味・読み・例文・類語

しょとく‐こうじょ‥コウヂョ【所得控除】

  1. 〘 名詞 〙 所得税の課税に際して、課税所得からあらかじめ一定の金額を差し引くこと。現行所得税法では、基礎控除・雑損控除医療費控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除などの所得控除を設けている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「所得控除」の意味・わかりやすい解説

所得控除
しょとくこうじょ

所得への課税額を計算する際に、個々人の税金を払う能力(担税力)に応じ、課税額から一定額を差し引いて納税額を軽くする制度。所得の低い人の納税額が多くならないように調整するほか、家族構成や病気の有無などを納税額に反映させるねらいがある。所得控除は2014年(平成26)時点で14種類あり、個人の事情を反映する「人的控除」と、地震保険への加入を促進するものや非営利組織NPO)への寄付を促すものなど政策的色彩の濃い「その他の控除」の大きく二つに分けられる。

 「人的控除」の代表例としては、所得のある人すべての所得税課税額から一律38万円を差し引く「基礎控除」や、配偶者の年収が103万円以下の場合に本人の所得税課税額から38万円を差し引く「配偶者控除」などがある。なお、配偶者の年収が103万円を超えても141万円未満であれば、本人の所得税課税額から3万円以上38万円以下を差し引く「配偶者特別控除」が利用できる。そのほか、「扶養控除」「障害者控除」「寡婦寡夫)控除」「勤労学生控除」もある。

 「その他の控除」には、年間医療費(最高200万円)から10万円を差し引いた額を所得税課税額から控除できる「医療費控除」のほか、災害や盗難などで損害を受けた場合の「雑損控除」、「生命保険料控除」「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「寄附金控除」がある。また地方自治体に納める個人住民税についても、控除額は異なることもあるが、所得控除と同じ種類の控除が適用される。

 なお、配偶者控除に対しては、既婚女性が年収上限を気にして職につかないといった弊害があるとの批判があり、安倍晋三(あべしんぞう)政権は2014年3月、女性の社会進出を促す目的で、縮小・廃止を検討するよう政府税制調査会へ指示した。

 所得控除とは別の仕組みとして、所得税課税額からではなく、本来払うべき税額から一定額を差し引く「税額控除」という制度もある。その代表例は「住宅ローン控除」「配当控除」「政党等寄附金特別控除」である。

[矢野 武]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「所得控除」の意味・わかりやすい解説

所得控除
しょとくこうじょ
exemptions

所得税の課税にあたって所得からあらかじめ一定の金額を控除すること。納税者の個々の事情により税金を負担する能力の差を調整し,最低生活水準を維持することをねらいとしている。日本の所得税法では本人および親族にかかわるものとして基礎控除,配偶者控除,扶養控除,障害者控除,寡婦控除勤労学生控除,老年者控除が認められている (所得税法 79~84) 。また納税者の資産の損害,多額の医療費,特定の寄付金,生命,資産の保全のための支出などにかかわるものとして雑損控除,医療費控除,社会保険料控除,小規模企業共済等掛金控除,生命保険料控除,損害保険料控除,寄付金控除などが認められている (72~78条) 。厳密にいえばこれは所得を算定するために収入から控除すべき経費控除というべきものである。

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知恵蔵 「所得控除」の解説

所得控除

所得税で税額を算定する際に課税所得から差し引く控除を所得控除といい、所得控除を差し引いた課税所得に税率を掛け、税額を算定してから差し引く控除を、税額控除という。所得控除には最低生活費を非課税にしたりして納税者の人的事情を考慮する人的控除と、政策目的で実施する控除がある。日本では人的控除の所得控除として、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などがある。こうした人的控除に給与所得控除の84万円と社会保険料控除の22万円を加えた220万円が夫婦と子供1人の場合の課税最低限として設定される。所得控除でも医療費控除や社会保険料控除などは政策的控除といってよい。税額控除には配当二重課税を調整する配当控除や、政策的控除でもある住宅ローン控除、政党等寄付金特別控除などがある。

(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2007年)

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株式公開用語辞典 「所得控除」の解説

所得控除

所得税を計算する際、所得金額より控除できる金額を所得控除という。控除されたあとの所得金額に対して、税率をかけて税額を求める。その際の税率は、累進税率が適用されている。

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世界大百科事典(旧版)内の所得控除の言及

【所得税】より

…これにより法人所得に初めて課税されるようになった。大正時代にも所得税制の近代化が進み,(1)超過累進税率の採用と税率の高度化,(2)勤労所得控除の創設,(3)扶養控除の創設,などがみられた。1940年の大改正では,法人税が所得税から別建てとされ,分類所得税と総合所得税の2本立てに改められたが,第2次大戦後の47年には再び総合所得税1本に戻るとともに,申告納税方式が採用された。…

※「所得控除」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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