六訂版 家庭医学大全科 「線溶系異常」の解説
線溶系異常
(血液・造血器の病気)
外傷などの際には、血液はすみやかに凝固して止血血栓をつくりますが、同時に過剰な血栓を除去する線溶糸の反応がはたらき、正常な血流が保たれています。
この反応には、血栓を溶かすプラスミン、プラスミンのはたらきを制御しているα2プラスミンインヒビター(α2PI)、プラスミノゲンをプラスミンに活性化する組織型プラスミノゲンアクチベーター(tPA)、tPAのはたらきを制御するプラスミノゲンアクチベーターインヒビター1(PAI1)など、さまざまな分子が関係しています。線溶系の反応が過剰に起こると、止血血栓があまりに早く溶けすぎて再出血を起こしてしまいます。
この線溶系異常による先天性出血性疾患には、tPA過剰症、PAI1欠損症、α2PI欠損症などの報告例があります。α2PI欠損症については日本でも数例の報告があり、外傷後の止血困難や手術後に再出血(後出血)する特徴的な出血症状を示します。第17番常染色体上のα2PI遺伝子に変異が同定された症例もあります。
線溶系異常による出血症状の治療には、抗線溶薬であるトラネキサム酸(トランサミン)投与が有効です。
後天的な線溶系異常による出血傾向は、
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報