日本大百科全書(ニッポニカ) 「DIC」の意味・わかりやすい解説
DIC(株)
でぃーあいしー
ファイン・ケミカルを中心とした総合化学会社。1908年(明治41)東京・本所(ほんじょ)に創業した川村インキ製造所が前身。大正時代に原料となる高級顔料の製造に成功、1937年(昭和12)大日本インキ製造株式会社に改組した。第二次世界大戦後の1952年、原料自給を目的に、アメリカのライヒホールド社と合弁で日本ライヒホールド化学工業を設立、その樹脂事業が塗料、成型、繊維加工などの分野で大きく発展した。1962年色彩化学メーカーから応用化学メーカーへの発展を目ざし、日本ライヒホールド化学工業を合併、大日本インキ化学工業と改称した。建材、プラスチック成型品や印刷機械などに続き、1960年代後半には石油化学分野に進出、ポリエチレン事業がスタートして、総合化学会社への道を歩み始めた。石油危機後は、アメリカのポリクローム社やライヒホールド社を買収して国際化を展開、印刷インキや顔料に関して世界のリーディングカンパニーの地位を築くとともに、記録材料、バイオテクノロジーなどの新規先端分野にも進出している。2008年(平成20)DICに社名変更した。千葉県佐倉(さくら)市に川村記念美術館を所有する。資本金824億円(2008)、売上高3938億円(2008)。
[中村青志]
『『DIC80年史』(1989・大日本インキ化学工業)』