精選版 日本国語大辞典 「罅る」の意味・読み・例文・類語
ひわ・るひはる【罅】
- 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ひびや割れ目がはいる。割れる。
- [初出の実例]「比波留」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
- 「柱のひはれたるはざまに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)真木柱)
- 「(ヒワル)」(出典:法華経音訓(1386))
罅るの補助注記
( 1 )後世、「干割る」と混同された面があるが、「新撰字鏡」の表記などから判断して、本来は「ひはる」であり、その語源は定かでないが、あるいは「ひ」は「ひび」「ひま」などの「ひ」と同じで割れ目の意、「はる」は田畠を切り開く「はる(墾)」に対する自動詞で切り裂けるの意であったかとも思われる。
( 2 )「観智院本名義抄」に「 ヒバル」、「色葉字類抄」に「拆 ヒバル」という濁音表記も見られるところから、本来「ひばる」であったものが、清濁の表示不十分であったため「ひはる→ひわる」とよまれ、意味の近似も手伝って、しだいに「干割る」のように意識されていったとも考えられる。