改訂新版 世界大百科事典 「置換積分法」の意味・わかりやすい解説
置換積分法 (ちかんせきぶんほう)
関数f(x)の不定積分を求めるのに,x=φ(t)により積分変数xをtで置き換えて,として計算することを置換積分法という。定積分の場合は,φ(t)が区間α≦t≦βで微分可能な増加関数であって,φ′(t)がこの区間で積分可能ならば,a=φ(α),b=φ(β)とするとき,a≦x≦bで積分可能な関数f(x)に対して次の公式が成立する。
2変数の関数の場合は,適当な滑らかさの条件を満たす関数x=φ(u,v),y=ψ(u,v)によって,(x,y)平面の領域Aと(u,v)平面の領域Bとが1対1に対応するならば,
ここに,
であって,この行列式はφ,ψのu,vに関する関数行列式,またはヤコビの行列式と呼ばれる。例えばA={(x,y)|x2+y2<a2}のとき,x=rcosθ,y=rsinθによって直交座標(x,y)を極座標(r,θ)で置換すると,AはB={(r,θ)|0≦r≦a,0≦θ<2π}に1対1に写され,関数行列式=rとなり,
となる。
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報