デジタル大辞泉
「消息」の意味・読み・例文・類語
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しょう‐そくセウ‥【消息】
- 〘 名詞 〙
- ① ( ━する ) 消えることと生ずること。衰えることと盛んになること。うつりかわり。変化。消長。
- [初出の実例]「壮日如今去不レ廻、消息窮通皆有レ運」(出典:菅家文草(900頃)四・立春)
- [その他の文献]〔易経‐豊卦〕
- ② 変化するものごとのその時その時のありさま。動静。様子。しょうそこ。
- [初出の実例]「為下観二風俗一并問中伯姓消息上巡行官人、単壱伯玖拾捌日」(出典:正倉院文書‐天平一〇年(738)但馬国正税帳)
- 「如何して他人の恋の消息(セウソク)が解らう」(出典:湯ケ原より(1902)〈国木田独歩〉)
- [その他の文献]〔後漢書‐陸続伝〕
- ③ ( ━する ) おとずれて来意を告げること。案内を乞うこと。しょうそこ。
- [初出の実例]「簾の下に女出で居たるに、檣下に男立ちて消息云ひいる」(出典:貫之集(945頃)三)
- [その他の文献]〔李白‐早春寄王漢陽詩〕
- ④ ( ━する ) 手紙を書くこと。また、その手紙。たより。書信。しょうそこ。
- [初出の実例]「遣レ使尋二訪入唐第一船一、其消息云」(出典:続日本紀‐天平勝宝六年(754)三月一七日)
- 「是こそ今はのきはの御返事にて候へとて、鬢の髪と消息(セウソク)とを差あげて」(出典:太平記(14C後)二)
- [その他の文献]〔晉書‐陸機伝〕
- ⑤ ( ━する ) 考えていることを口で表現すること。
- [初出の実例]「且又坐禅、若不レ作二方便而消息一、則或致二病患一」(出典:空華日用工夫略集‐応安四年(1371)二月二六日)
- ⑥ 特に、浄土宗で、法主の門徒に下した法語をいう。
- [初出の実例]「姨の禅尼をすすめんために、念仏勧進の消息をつかはさる」(出典:法然上人行状画図(1307‐16頃)一四)
- ⑦ ( ━する ) 消えてなくなること。消してなくすること。
- [初出の実例]「法身の真言にて重罪消息(ショウソク)して」(出典:雑談集(1305)一〇)
しょう‐そこセウ‥【消息】
- 〘 名詞 〙 ( 「しょうそく(消息)」の変化した語 )
- ① =しょうそく(消息)②
- [初出の実例]「僧が消息(セウソコ)を尋ね給ふ」(出典:読本・雨月物語(1776)青頭巾)
- ② =しょうそく(消息)③
- [初出の実例]「古りにし我を 誰ぞこの 仲人たてて 御許の容姿 世宇曾古(セウソコ)し 訪ひに来るや さきむだちや」(出典:催馬楽(7C後‐8C)朝津)
- 「かやうのついでなる御せうそこは、まだ更に聞え知らず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- ③ =しょうそく(消息)④
- [初出の実例]「せうそこをだにいふべくもあらぬ女のあたりを思ひける」(出典:伊勢物語(10C前)七三)
- 「身にやんごとなく思ふ人のなやむを聞きて〈略〉おこたりたる由せうそこ聞くもいとうれし」(出典:枕草子(10C終)二七六)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
消息
しょうそく
他人の安否を問い、自分の用件を伝えて心の不安を消し息(や)む(『貞丈雑記(ていじょうざっき)』)の意で、広くは現在の私信・手紙のことをいう。奈良時代の私信は啓(けい)・状(じょう)といわれ、唐の公文書・私信などの書式を規定した『書儀』にみえる私信としての啓・状を引き継ぐもので、純粋の漢文で書かれ、書式も多様であった。しかしこれも漸次国風化され、平安時代の中ごろには『雲州(うんしゅう)消息(明衡(めいごう)往来)』にみられるような消息が成立、やがて書札様(しょさつよう)文書へと発展していく。ここに男性の漢字を使った漢文体(和様漢文体を含む)の消息が成立する。これが一般に書状といわれるものである。また平安時代の中ごろには仮名が発明され女性に用いられるようになり、女性の仮名書きの話しことば(和文体)による消息の成立をみる。これは女消息・仮名消息とよばれ、男性の書状に対して狭義の消息である。鎌倉時代以降、書状と仮名消息は入り交じって用いられ、厳密な区別は行われにくくなるが、典型的な仮名消息としては女房奉書をあげることができる。また戦国末になると女性だけに限らず、天皇の宸筆(しんぴつ)、足利(あしかが)将軍の自筆の仮名消息のように男性のものもみられる。
[上島 有]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
消息【しょうそく】
〈しょうそこ〉とも。消は死,息は生を意味し,元来は動静の義。転じて,たより,音信,手紙をさす。平安時代の男子は変体漢文で手紙を書いたが,これは後世候(そうろう)文へ発展した。一方,女子は平仮名を用い(仮名消息),〈侍(はべ)り〉〈かしこ〉〈まゐらせ候〉などや,〈御〉を多用したり,女房言葉を用いるなどして丁寧でわかりやすく書いた。これらは消息文と総称される。→往来物/尺牘(せきとく)
→関連項目折紙(書誌)|薩戒記|藤原佐理|吉崎
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普及版 字通
「消息」の読み・字形・画数・意味
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消息
しょうそく
かなを主とする手紙。尺牘 (せきとく) 書状などの漢文体,またはそれに近い書簡に対する語。
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世界大百科事典(旧版)内の消息の言及
【手紙】より
…用件を紙に書いて相手に伝える文書。
【日本】
書状,書札,消息(しようそく∥しようそこ),尺素(せきそ),尺牘(せきとく)などともいう。ほかに手元において雑用に使う紙の意義もあるが,現在では用いられない。…
【手紙】より
…用件を紙に書いて相手に伝える文書。
【日本】
書状,書札,消息(しようそく∥しようそこ),尺素(せきそ),尺牘(せきとく)などともいう。ほかに手元において雑用に使う紙の意義もあるが,現在では用いられない。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」