出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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…建物の外壁を組積造のような構造体でなく,空間を仕切る建具として用いるとき,この壁をカーテンウォールという。建物の受ける力を負担しないので非耐力壁あるいは帳壁(ちようへき)とも呼ばれ,これに対して構造体としての外壁は耐力壁(ベアリングウォールbearing wall)という。鉄骨造,鉄筋コンクリート造,高層建築の発達に伴って,構造体としての外壁に代わって柱,梁(はり)に建物の荷重を負担させるようになり,大きな窓(開口部)を設けることを可能にした。…
…こうした壁の種類としては,このほかに録音スタジオの周囲などに使われる壁で,二重壁などにして遮音性を高めた防音壁(遮音壁),音楽ホールなどで反響を防ぐために設けられる凹凸などを有する吸音壁,冷凍室の周囲など外部の温熱環境を遮断する目的で,断熱材を豊富に用いた防熱壁や防寒壁,高い防水性を要求される地下室などに用いられる防水壁(外周壁は原則としてすべて防水性が要求されるが,これは除く),間仕切壁などで収納の機能を一体としてもっている収納壁,レントゲン室など放射線を扱う室の周囲に放射線の遮断を目的に設けられる放射線シールド壁,太陽熱などを時間をおいてとり出すための熱容量の大きい蓄熱壁,ガラスブロックのように光は通すが,他のほとんどの因子は遮断する採光壁などがある。
[耐力壁と非耐力壁]
以上述べたような機能をもった壁のほか,建物を支えるという機能を最優先する壁があり,これを耐力壁あるいはベアリングウォールbearing wallと呼ぶ。耐震壁は風や地震など水平方向の力に対してとくに強い抵抗要素をもった耐力壁である。…
…建物の自重(設備装置の重量,家具,人間などの重量を含む)や地震,風によって加わる外力を,柱や梁(はり)を用いず壁体のみによって支える構造。このように力を支える役割をする壁は耐力壁bearing wallと呼ばれる。壁構造で建てられるものの多くは壁式鉄筋コンクリート造か補強コンクリートブロック造であるが,組積造(石造,煉瓦造,コンクリートブロック造)とパネル式プレハブ建築の多くもこの構造であり,また木造の枠組壁工法も木製枠組を用いてはいるが,力学的には壁構造と考えられる。…
…
[現代超高層建築の成熟期]
1960年代後半に入ると,超高層建築は,その用途構成や構造形式,表現方法などにおいて内容の多様化時代をむかえることになる。すなわち,用途においてはそれまでの単一機能から,いくつかの異なった用途を組み合わせた複合建築に,構法的には鉄骨構造だけでなく,鉄筋コンクリート構造までも採用され,構造形式としては,水平力の大部分をコアに負担させる考え方から,外周部の柱やブレース(斜材)にも負担させるベアリングウォール(耐力壁)形式や,水平力による建物全体の曲げ変形に対抗する各種のチューブ構造が可能となってきた。その結果,これらさまざまな構造形式を建物形態の表現手段として用いた超高層建築が登場した。…
※「耐力壁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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