肛門ポリープ(読み)こうもんポリープ(その他表記)Anal polyp

六訂版 家庭医学大全科 「肛門ポリープ」の解説

肛門ポリープ
こうもんポリープ
Anal polyp
(直腸・肛門の病気)

どんな病気か

 肛門管上方肛門上皮と直腸粘膜との境目に全周性の波打った場所があり、ここを歯状線(しじょうせん)といいます。

 そこにある肛門乳頭(にゅうとう)が、排便時に刺激を受けて炎症性・線維性に大きく伸びて脱出したものです(図18)。慢性裂肛(れっこう)産物としてよくできます。腫瘍性の直腸ポリープとは別のもので、悪性化はまずありません。

症状の現れ方

 裂肛に伴うことが多いのですが、内痔核(ないじかく)に併存することもあります。小さいうちは無症状ですが、大きくなると振り子のように伸びてきて脱出(有茎性ポリープ)し、裂けた時は痛みと出血を伴います。

治療の方法

 単独の場合には、通院局所麻酔下の切除が可能です。裂肛肛門皮垂(こうもんひすい)内痔核直腸ポリープを合併する場合は、それらの病気の根治術と同時に切除します。多発する時は電気メスで焼いたり、切除します。

松田 保秀


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「肛門ポリープ」の解説

こうもんぽりーぷ【肛門ポリープ Anal Polyp】

[どんな病気か]
 直腸と肛門の境目にあるくぼみ(肛門小窩(こうもんしょうか))がいろいろな刺激で部分的に突出し、その部分が長く伸びて線維化したものです。直腸にみられるポリープとは異なり、がんにはなりません。
[検査と診断]
 外来で肛門鏡検査を行ないます。先端の部分が平らで丸く、肛門の皮膚のようなポリープがみられれば診断がつきます。
[症状]
 とくに症状が現われないことが多いのですが、大きくなると、排便時に便といっしょに肛門から出てきます。出血がみられることもあります。ポリープの周囲が裂けて裂肛(れっこう)をおこした場合は痛みをともないます。
[治療]
 ポリープを手術で切除します。入院ではなく、外来の手術室で局所麻酔(きょくしょますい)をかけて簡単に切除できます。ただし、裂肛や痔核(じかく)をともなっている場合は、これらの治療を同時に行なうため、入院が必要になります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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