改訂新版 世界大百科事典 「肛門科」の意味・わかりやすい解説
肛門科 (こうもんか)
proctology
直腸および肛門の病気を専門に扱う医学の一分科。そもそもは外科の一部門。肛門は消化管の最下端で,消化管が皮膚に移行する部分で,粘膜下の静脈がよく発達しており,痔をはじめ多くの疾患が発症しやすい。とくに日本人は,その生活様式,食物,排便習慣,使用便器など諸種の原因から痔が多く,痔を主として扱う専門医が外科から独立して肛門科を標榜するようになり,1950年診療科目の一つとなった。したがって日本の肛門科では,痔核(いぼ痔),痔裂(切れ痔),痔瘻(じろう)を専門に扱うものが多い。西欧ではproctologyは,ひろく直腸および肛門の解剖,機能,疾病全般についての専門科目とされており,日本のそれとは多少とも意味の違いがある。
執筆者:北島 政樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報