肝予備能(読み)かんよびのう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「肝予備能」の意味・わかりやすい解説

肝予備能
かんよびのう

肝臓に保たれた予備能力のこと。肝臓はある程度の障害を受けても、代償作用が働いて修復が可能な臓器である。このような性質を肝予備能とよぶ。肝予備能は、いいかえれば、肝臓の機能がどの程度保たれているかを示すものである。肝硬変慢性肝炎などの慢性肝障害を背景にもつことが多い肝細胞がん患者が、どの程度の治療に耐えられるかという肝臓の予備能力の指標となり、治療方針を決める上で重要である。

 肝細胞がんの場合、肝予備能の評価には「原発性肝癌(がん)取扱い規約」(日本肝癌研究会編)の肝障害度分類、あるいはチャイルド・ピューChild-Pugh分類が用いられている。これらはいずれも、臨床所見(腹水脳症など)と血液検査所見(ビリルビンアルブミンなど)によりA・B・Cの3段階に評価され、AからCに向かって障害の程度が強くなっている。

[渡邊清高 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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