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慢性肝炎 まんせいかんえん chronic hepatitis

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

慢性肝炎
まんせいかんえん
chronic hepatitis

急性肝炎肝硬変の中間に位置する病態で,臨床症状として食欲不振,全身倦怠感,黄疸,肝臓の腫大などがある。日本の診断基準 (犬山シンポジウム,1967) では,6ヵ月以上肝臓に炎症が持続,あるいは持続していると思われる病態で,組織学的には,グリソン鞘に線維増生を伴う持続性炎症所見を示すものを慢性肝炎としている。

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生活習慣病用語辞典の解説

慢性肝炎

肝臓が炎症を起こし、それが 6 か月以上続いている状態をいいます。90 %が B 型・C 型ウイルスの感染が原因です。初期の症状は、だるい、疲れやすい、食欲不振などの目立ない症状ですが、無症状の場合もよくあります。

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家庭医学館の解説

まんせいかんえん【慢性肝炎 Chronic Hepatitis】

◎B型、C型ウイルス肝炎が多い
[どんな病気か]
[検査と診断]
◎ウイルスの増殖防止が基本
[治療]
[日常生活の注意]

[どんな病気か]
 6か月以上肝細胞(かんさいぼう)の破壊が持続する病気が慢性肝炎です。ほとんどの場合は、肝炎ウイルスが原因で、肝臓の細胞に何十年にもわたってウイルス感染(かんせん)が持続しておこります(持続感染(じぞくかんせん))。代表的なものがB型慢性肝炎とC型慢性肝炎です。それぞれB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの持続感染でおこります。
 慢性肝炎の多くはほとんど症状がありません。長年経過すると全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん)、易疲労感(いひろうかん)(疲れやすい)などの症状が出ることもありますが、多くの場合、血液検査を行なって、GOTやGPTの値が上昇して初めて気づきます。
■B型慢性肝炎
 B型肝炎ウイルスの持続感染のほとんどは、2~3歳までの乳幼児期にHBe抗原(こうげん)陽性の母親から感染を受けています(母子感染(ぼしかんせん)(肝炎とはの「肝炎ウイルス」の母子感染))。この時期には免疫力(めんえきりょく)が十分に備わっていないためウイルスを排除する力がないのです。
 母子感染によるキャリアは、無症候性(むしょうこうせい)キャリアとして数十年経過するうちに、徐々に肝細胞が破壊され、B型慢性肝炎となります。成人になってからB型肝炎ウイルスに感染した場合は、免疫力が十分にあることが多いので、通常は急性肝炎をおこして、2~3か月で治ってしまいます。
 ただし、抗がん剤や免疫抑制薬(めんえきよくせいやく)などを使っていて免疫力が低下している場合は、成人でもキャリアになることがあります。
 キャリアは通常、HBs抗原、HBc抗体(こうたい)が高値で、血液にウイルスが多量に存在する場合はHBe抗原が陽性となります。キャリアの多くは、一時期肝機能検査(かんきのうけんさ)の結果が悪化しますが、その後落ちつくことがあります。そのときはHBe抗原が陰性となり、かわってHBe抗体が陽性となります。この現象をHBe抗原からHBe抗体へのセロコンバージョン(抗体陽性化(こうたいようせいか))といいます。
 最近、B型肝炎ウイルスの研究が進み、HBe抗体ができても肝炎が持続するタイプの人のB型肝炎ウイルスを調べると、ウイルスの遺伝子の特定の部分に変異があることがわかりました。また、HBs抗原が陰性でも、HBc抗体だけ高値を示す人では、慢性肝炎をおこすこともわかってきました。
 したがって、B型慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスマーカーが陽性で、持続的にGOT、GPTが異常値をとる状態と考えればよいかもしれません。
 B型肝炎ウイルスのキャリアの約10%は、慢性肝炎が長年続いた後、肝硬変(かんこうへん)に進む危険性があります。
■C型慢性肝炎
 C型肝炎ウイルスの遺伝子のうち、ウイルスの表面たんぱくをつくる部分が変異しやすいことがわかってきました。インフルエンザウイルスと同じように、ウイルスの性質が次々と変わってしまうため、ウイルスを殺す抗体がなかなかできない状態になっています。
 この性質によって、C型肝炎ウイルスは肝臓に持続感染状態を生じさせ、持続的に肝細胞を破壊し、慢性肝炎をおこすのです。
 C型肝炎ウイルスの母子感染はそれほど多くありません。しかし、B型肝炎と同様に、無症候性キャリアの人もいます。
 C型慢性肝炎になると、多くはGOT、GPTが異常値を示し、高値になったままで経過する場合に、治療しないでいると、肝硬変に進む危険性があります。

[検査と診断]
 慢性肝炎は、多くの場合、無症状です。そのため肝細胞の破壊がどの程度進行しているかを調べるため、月1回、定期的に血液検査(肝機能検査)を受ける必要があります。
 ウイルスマーカーが陽性で、6か月以上GOT、GPT値が基準値以上の値を示せば、まず慢性肝炎と考えられます。最終的には肝臓から耳かき1杯程度の組織を採取して、顕微鏡で調べる病理検査(肝生検(かんせいけん)という)を行ない、慢性肝炎の程度(初期の状態か肝硬変に近い状態か)を調べます。

[治療]
 治療については肝臓専門医に相談する必要があります。定期的に肝機能検査を受けて、肝硬変に進む可能性のある場合は特別な治療が行なわれます。
●B型慢性肝炎の治療
 ウイルス感染によっておこる病気ですから、最良の治療はウイルスを排除することです。その1つに、抗ウイルス薬であるインターフェロン筋肉注射(きんにくちゅうしゃ)あるいは静脈注射(じょうみゃくちゅうしゃ)する方法があります。欧米では長期間実施することができますが、日本では保険診療でインターフェロンの連続使用が6か月間認められるようになり、この方法でB型肝炎ウイルスを完全に排除すること、すなわち、HBs抗原が陰性化することが期待されています。しかし、ウイルスの増殖が抑えられ、HBe抗原からHBe抗体へのセロコンバージョン(陽性化)を生ずることはあります。それによって肝炎を鎮静化できます。そのほか、ラミブジンを服用することもあります。
 インターフェロン治療を行なうと、約20~30%の人がセロコンバージョンをおこしますが、通常はセロコンバージョンがおこる前に一過性にGOT、GPT値が急激に上昇します。これは、肝細胞中に潜(ひそ)むウイルスを排除するために、感染した肝細胞が破壊されるからと考えられています。このとき、劇症化(げきしょうか)(急激に肝細胞が大量に破壊される)しないようにするため、入院治療が必要になることもあります。
 B型慢性肝炎の場合、肝細胞の破壊はウイルス自体によっておこるのではなく、感染した人の白血球(はっけっきゅう)の一種であるリンパ球が、ウイルスを殺そうとして、一緒に肝細胞も壊しているという証拠があります。したがって、リンパ球の免疫反応(めんえきはんのう)がおこらなければ、肝細胞の破壊もおこらなくなります。ところが、免疫抑制薬(めんえきよくせいやく)で免疫反応を止めてしまっても、肝細胞の破壊は抑えられません。このように、ウイルスの増殖とリンパ球の免疫反応のバランスが微妙に関係して肝細胞が壊れています。
 そのため、免疫反応のバランスを変えて、肝炎を鎮静化する薬もあります。副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)がこの種の薬として使用されます。
 以上のような治療でも肝炎の活動性が鎮静化しない場合は、肝庇護剤(かんひござい)などを使い、なるべくGOT、GPT値の上昇を抑える努力を行ないます。
●C型慢性肝炎の治療
 C型慢性肝炎の治療も、GOT、GPTの値、肝生検による病理組織検査に基づいた肝組織の損傷程度に応じて、ウイルスの排除を目的としたインターフェロン治療が、まず行なわれるのが一般的です。B型と異なり、C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療は、保険診療上連続使用が認められています。多くの場合、肝生検にひき続き、2~4週間入院して連日インターフェロンを注射し、その後の6か月間は週3回の注射を外来で行ないます。また、リバビリンを併用することがあります。
 近年の研究によって、血液中のウイルス量が多い場合、さらにウイルスの型別にみて、Ⅱ型(1b型)や、ウイルス遺伝子の特定の場所が変異していない野生型などの場合は、インターフェロン治療を6か月間行なっても、結局はウイルスは排除されにくいことがわかっています。
 このような条件を無視して治療したとすると、完治するのはC型慢性肝炎全体のほぼ3割強です。そのため現在はなるべく完治する条件がそろっている人を選んで治療する方向にあります。しかし、インターフェロン治療によってその後の肝炎の進行が抑えられ、肝硬変への進展を延長できる可能性もあり、積極的にインターフェロン治療を行なうようになってきました。
 インターフェロン治療は、ときに副作用を生じ、まれに後遺症を残すことがあります。その多くは高齢者におこる副作用です。そのため、治療にあたっては、肝炎の状態、年齢など、多くの要素を総合して治療方針を決める必要があります。したがって、B型慢性肝炎も含め、治療は肝臓病の専門医とよく相談して行なうことがたいせつです。
 インターフェロン治療が無効の場合、GOT、GPT値をなるべく抑える努力が行なわれます。肝庇護剤、漢方薬、その他の薬を単独あるいは多剤併用で使うなど、いろいろ行なわれます。
 肝臓病に対する医療の進歩は目覚ましく、近い将来、さらによい抗ウイルス薬が使えるようになるでしょう。

[日常生活の注意]
 慢性肝炎がこわいのは、一部が肝硬変になったり、肝がんが発生したりすることです。ですから、定期的に肝機能検査、画像検査を受け、専門医に従って治療に専念することがたいせつです。
 食事は、高たんぱく食のみならず、ビタミン類の補給を含め、偏(かたよ)りのない多種類の食品を適量とることがたいせつです。飲酒は慢性肝炎を進行させる可能性が強いため、できるだけ避けるべきです。
 激しい運動や長時間の入浴は肝細胞の再生にとって好ましいことではありません。規則正しい生活と睡眠(すいみん)を心がけ、ストレスを避けることも大事です。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

大辞林 第三版の解説

まんせいかんえん【慢性肝炎】

肝臓の持続性炎症疾患。食欲不振・倦怠感などの自覚症状が見られることもあるが、一般には軽度。肝硬変に進行する場合もある。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

慢性肝炎
まんせいかんえん

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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世界大百科事典内の慢性肝炎の言及

【肝炎】より

…肝臓の炎症性疾患。肝炎と名がつく肝臓の疾患には,ウイルス性肝炎(急性肝炎),劇症肝炎,慢性肝炎,ルポイド肝炎,アルコール性肝炎や薬物性肝炎などがある。肝炎は,(1)肝細胞の変性,壊死(肝細胞の破壊),(2)肝細胞の機能障害,(3)間葉系反応(細胞浸潤や繊維増生),(4)胆汁鬱滞(うつたい)(胆汁の排出障害,黄疸)などの組織変化の組合せで起こる。…

【肝腫大】より

…すなわち,炎症性反応,リンパの鬱滞(うつたい),胆汁鬱滞などによって肝臓は急速に腫張し,軽い圧痛を訴える。慢性肝炎では,肝臓は通常1~2横指,腫大して硬くなる。アルコール性脂肪肝とアルコール性肝硬変では,ほとんど肝腫大を伴うが,禁酒によって急速に正常の大きさに戻る。…

【肝臓】より

…【和気 健二郎】
[肝臓の病気]
 肝臓の構造と機能に関連して,多くの病態が発生する。大別すると,急性炎症(急性肝炎),慢性炎症(慢性肝炎),高度の繊維増加を伴う構造の変化(肝硬変),胆汁流出障害,循環障害,代謝障害,寄生虫感染などがある。これらの原因として,ウイルス感染,アルコール毒性,薬剤アレルギー,栄養障害,自己免疫異常,胆道疾患,心臓病などがある。…

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