日本大百科全書(ニッポニカ) 「肝内胆管がん」の意味・わかりやすい解説
肝内胆管がん
かんないたんかんがん
intrahepatic cholangiocarcinoma
肝臓内に発生した胆管上皮に由来するがん(悪性腫瘍(しゅよう))。胆管細胞がんともよばれる。
胆管は肝臓から十二指腸までの胆汁の通り道であり、肝臓内を走る胆管を肝内胆管、肝臓の外に出てから先を肝外胆管とよぶ。胆管に発生するがんは、肝内胆管がんと肝外胆管がんに二分される。このうち肝内胆管がんは、肝臓にできたがんとして、肝細胞がんとともに原発性肝がんとして取り扱われている。肝内胆管がんは、日本における原発性肝がんの5%弱を占め、肝細胞がんに次いで発生頻度が高い。
肝硬変の併存が少ないことが肝細胞がんとは異なるが、進行するまで無症状のことが多い点は共通している。胆汁の流れが滞ったり逆流することで、黄疸(おうだん)や白色便、かゆみなどの症状が起こったり、胆管炎などに伴う発熱、腹痛や全身倦怠(けんたい)感などがみられることがある。
根治を目ざす治療として外科療法(手術)が行われる一方、切除不能の場合は薬物療法(化学療法:ゲムシタビンとシスプラチン併用療法など)が行われる。
「第19回全国原発性肝癌(がん)追跡調査報告」(2006~2007、日本肝癌研究会)によると、全症例の累積生存率は1年58.0%、2年41.7%、3年34.4%、5年24.8%、10年14.9%となっている。
[渡邊清高 2019年11月20日]