肩脱(読み)かたぬぐ

精選版 日本国語大辞典 「肩脱」の意味・読み・例文・類語

かた‐ぬ・ぐ【肩脱】

〘自ガ五(四)〙 (古くは「かたぬく」)
上着を半ば脱いで、下着の肩を現わす。特に宴会などでくつろいだ時にする。
源氏(1001‐14頃)若菜下「求子(もとめご)はつる末に、わかやかなる上達部は、かたぬぎており給ふ」
② 着ている衣服の上半を脱いで膚をあらわにする。はだぬぐ。
※石山寺本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「鬼即ち出で来たり、袒(カタヌキ)て之を示して云はく」
③ (「左袒」の訓読から) 賛成する。味方する。
七十一番職人歌合(1500頃か)四〇番「右尤巧にして、凡骨更に及がたし。左を顧に不及。右に肩ぬぎ侍べし」

かた‐ぬぎ【肩脱】

〘名〙
① (━する) 着ている衣服の上の部分を脱いで肩をあらわにすること。はだぬぎ。
※羅葡日辞書(1595)「Seminûdus〈略〉ハンブン ハダエヲ カクシタル モノ、catanugui(カタヌギ) シタル モノ」
② 中古、節会などの宴席で、装束の袍の肩を脱いで、くつろぐこと。
讚岐典侍(1108頃)下「寅の日の夜、すでに例の事なれば、殿上人かたぬぎ有るべければ」
③ (「左袒」の訓読から) (━する) 賛成すること。味方すること。
※翁の文(1746)一「仲基ははや此翁に肩(カタ)ぬぎして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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