装束(読み)ショウゾク

デジタル大辞泉の解説

しょう‐ぞく〔シヤウ‐〕【装束】

衣服を身に着けること。装うこと。また、その衣服。装い。いでたち。多く、衣冠束帯など、特別な場に合わせたものについていう。「旅の装束」「白装束
「四人は孔雀(くざく)の―す」〈宇津保・楼上下〉
家屋・道具などを飾りつけたり整えて支度したりすること。しつらえ。また、その装飾品。
「御車の―解きて」〈かげろふ・中〉

そう‐ずく〔サウ‐〕【装束】

しょうぞく(装束)」に同じ。
「二人の婿の―」〈落窪・一〉

そう‐ぞく〔サウ‐〕【装束】

しょうぞく(装束)1」に同じ。「壺(つぼ)―」
「―の袴(はかま)を取り寄せさせ給ひて」〈・夕顔〉
しょうぞく(装束)2」に同じ。
「参りて奏せむ。車に―せよ」〈大鏡花山院

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百科事典マイペディアの解説

装束【しょうぞく】

〈そうぞく〉とも読む。物を飾ること。中古以来公武男女の公服,すなわち束帯衣冠,直衣(のうし),狩衣(かりぎぬ),直垂(ひたたれ),裳(も),唐衣(からぎぬ)等を身を飾るという意味で装束と呼び,また朝廷の公事(くじ)儀式が行われる際,式場を装飾することも装束するという。
→関連項目狩衣立涌朝服腹巻有職文様

装束【そうぞく】

装束(しょうぞく)

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大辞林 第三版の解説

しょうぞく【装束】

〔古くは「そうぞく」とも〕
特別の場合のための、整った一そろいの服装。衣冠・束帯・直衣のうしなど、一定の法式にかなった装い。また、それで盛装すること。身じたくすること。いでたち。 「晴れの日のための-」 「白-」
衣服。着物。 「わらはが-のあるをば取て、いかならん僧にも取らせ/平家 9
衣服を身に着けること。装うこと。そうずく。 「季通も-してゐたり/宇治拾遺 2
室内・庭・車などを飾ること。また、その飾り。 「極いみじく-仕たる女車の乗り泛こぼれたる/今昔 24

そうずく【装束】

しょうぞく(装束)」に同じ。 「 -一領ばかり/蜻蛉

そうぞく【装束】

( 名 ) スル
しょうぞく(装束)」に同じ。 「まゐりの夜の人々-せさせ給ふ/源氏 乙女

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

装束
しょうぞく

朝廷や貴族が用いる調度や威儀具などの一そろい。また衣服、武具、馬具、輿車(よしゃ)などの様式にかなった装いの組合せ。装束は元来、御帳(みちょう)台、椅子(いし)、床子(しょうじ)、茵(しとね)、畳などの座臥(ざが)具、御簾(みす)、壁代(かべしろ)、几帳(きちょう)、軟障(ぜじょう)、屏風(びょうぶ)、障子などの屏障(へいしょう)具、厨子(ずし)、棚、唐櫃(からびつ)、筥(はこ)、鏡台などの什器(じゅうき)類を正しく敷設し配置することと、庭上の幡(ばん)、旗、矛、盾、弓箭(きゅうせん)など威儀具の舗設、装備の意味を表す語であった。
 平安時代に調度の配置、室内の装飾のことを室礼(しつらい)というようになり、装束の語はおおよそ服装に関して使われる場合が多くなり、さらに「装束する」というように動詞化した用法も認められる。公家(くげ)の服装についての規範は古くは推古(すいこ)天皇11年(603)に定められた冠位十二階の制や、養老(ようろう)の衣服令(りょう)などの服制に求められる。衣服令で公服を3種に分けて礼服(らいふく)、朝服、制服とし、礼服は五位以上の者が儀式のとき、朝服は有位の者が参朝のとき着装し、それぞれ文官、武官、女官の区別がある。制服は無位の者、庶人が公事(くじ)に従うときに着用する。平安時代になって、男子の礼服は即位式の際のみで、朝服が儀式にも用いられるようになった。この礼装化した朝服は束帯とよばれ、晴装束または昼(ひの)装束ともいわれ、宿直(とのい)装束と区別した。このころから公家の衣服の身頃(みごろ)や袖(そで)など広く、大きくなり始め、非常に優雅な様式のものとなって、服装の和様化が進んだ。
 女子は儀式に臨むことが少なくなり、礼服を用いる機会がほとんどなくなって、儀式のときはかんざし、領巾(ひれ)、裙帯(くんたい)を加えて礼装化した朝服を用い、晴装束とした。女子の朝服も長大化し、襲(かさ)ね着形式となるとともに、日常は裳(も)を着けず、唐衣(からぎぬ)(背子(はいし))も省略したため、これらを着装した姿を裳・唐衣ないし女房装束とよんだ。これは後世において、通俗に十二単(じゅうにひとえ)といわれている。
 束帯を簡略化したものが布袴(ほうこ)や衣冠(いかん)で、朝服に準ずる公服であるため、冠をかぶり位袍(いほう)を着用する。律令(りつりょう)制に基づく公的生活に用いられる礼服や朝服に対して、一定の規範に従うが、日常の私的生活で個人の好みによって着装するものを褻(け)の装束と称した。これには男子の直衣(のうし)、小(こ)直衣、狩衣(かりぎぬ)など烏帽子(えぼし)をかぶる姿が、女子の袿(うちき)や衵(あこめ)、細長などの姿があげられる。一日晴といって、その日1日だけ華やかに好みの色や文様の下襲(したがさね)や表袴(うえのはかま)などを着る姿を染(そめ)装束とよんだ。童(わらわ)装束として、束帯の場合でも髪形がみずらで冠をかぶらず、脇(わき)を縫わずにあけられた闕腋(けってき)の袍を用いる。そのほか童直衣や半尻(はんじり)の狩衣、童水干(すいかん)などが親しまれた。
 童女の装束には衵や汗衫(かざみ)が用いられ、年少の男女は、おおむね濃い色、小形の文様の衣服が用いられた。下級官人で行列の供奉(ぐぶ)をする随身は褐衣(かちえ)を着用し、召具装束とした。そのほか、下級官人が着る水干や退紅(たいこう)、白張(はくちょう)などは制服の流れをくむものである。女子が旅に出るときに、袿の裾(すそ)を引き上げて着装し、その形状から壺(つぼ)装束とよんだ。院政期以後流行をみた強(こわ)装束は、服装の輪郭が直線的で剛ばった調子のものをいい、従来のしなやかな線を描くものを柔(なえ)装束とよんで区別した。公家の品格を尊ぶ美意識から、自由な気分を表す染文様より、整然と反復する織文様を中心とし、さらに文様より色彩を重視し、装束の語が示すごとく、個々の色彩や文様より全体の様式美を配慮する服装といえよう。[高田倭男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

しょう‐ぞく シャウ‥【装束】

〘名〙
① 衣服。着物。衣裳。そうぞく。
※西大寺資財流記帳‐宝亀一一年(780)一二月二五日「羅陵王装束一具」
② (━する) 衣服や装身具、調度の類を完備して配置すること。衣冠、束帯、直衣(のうし)などで装うこと。身じたくすること。また、その装い。いでたち。そうぞく。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「四人は孔雀のしゃうぞくす」 〔北史‐李弼伝〕
③ (━する) 家屋、庭、また道具などを装飾すること。また、その装飾品。しつらえ。そうぞく。
※皇太神宮儀式帳(804)「太神正殿装束六物。壁代生絁御帳二条」
今昔(1120頃か)三一「沈(ぢん)の念珠の虎珀の装束したるを押攤(おしもみ)て」
④ 合羽の留め具。

しょう‐ぞ・く シャウ‥【装束】

〘自カ四〙 (名詞「しょうぞく(装束)」の動詞化) 装束を着ける。装う。そうぞく。
※蜻蛉(974頃)中「さまざまにしゃうぞき集りて、二車(ふたくるま)ぞある」
源氏(1001‐14頃)浮舟「いと細やかに、なよなよとしゃうそきて」

そう‐ずく サウ‥【装束】

※阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)四四「女のさうずくをかづけんとす」

そう‐ず・く サウ‥【装束】

〘自カ四〙 (名詞「そうずく(装束)」の動詞化) しょうぞくをつける。よそおう。そうぞく。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「侍従仲忠、いとになくさうずきて、夜うちふけていできたり」

そう‐ぞく サウ‥【装束】

〘名〙
① 衣服。着物。衣装。しょうぞく。
※竹取(9C末‐10C初)「たてる人どもは、さうぞくの清らなること物にも似ず」
② (━する) 衣服や装身具、調度の類を完備して配置すること。衣冠、束帯、直衣などで装うこと。身じたくすること。また、その装い。いでたち。しょうぞく。そうずく。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「人のめでたきさうぞくし、沈(ぢん)、麝香(ざかう)にしめて」
③ (━する) 家屋や庭、また道具などを装飾すること。また、その装飾品。しつらえ。しょうぞく。
※枕(10C終)三三「よくさうぞくしたる数珠(ずず)かいまさぐり、手まさぐりにして」

そう‐ぞ・く サウ‥【装束】

(名詞「そうぞく(装束)」の動詞化)
[1] 〘自カ四〙 装束を着ける。装う。しょうぞく。そうずく。
※蜻蛉(974頃)中「をさなき人、まゐらまほしげにおもひたれば、さうぞかせていだしたつ」
※源氏(1001‐14頃)薄雲「桜の御直衣に、えならぬ御そひき重ねて、たきしめさうぞき給ひて」
[2] 〘他カ四〙 使えるような状態に用意する。しつらえる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「さうぞきをかれたる琴どもをとうでさせて、あてあてに奉り給へれば」
[補注](1)漢語を活用させて動詞として用いるものには、他に「騒動(そうど)く」「彩色(さいし)く」などがあるが、平安時代ではごく少ない。
(2)類義の「装束(しゃうぞく・そうぞく)す」は飾り立てる動作そのものをさすのに対し、「装束く」は飾りつけた衣装を身につけ、着飾っている状態をさす。

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