六訂版 家庭医学大全科 「胃軸捻転症」の解説
胃軸捻転症
いじくねんてんしょう
Gastric volvulus
(食道・胃・腸の病気)
どんな病気か
胃軸捻転症は、胃の異常な回転や捻転によって起こる比較的まれな病気です。新生児や乳児に多く発症します。回転する軸によって、
原因は何か
胃は
症状の現れ方
症状は、急性あるいは慢性の経過をたどりますが、捻転の種類や閉塞の程度によって違います。急性の場合には嘔吐、激しい腹痛、上腹部の
小児では急性型はまれで慢性型が多く、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹部の膨満などの症状がみられますが、無症状の場合もあります。また、食道裂孔ヘルニアに合併した場合には腹部の症状に乏しく、胸部痛、呼吸困難などの胸部の症状が主体になります。
検査と診断
胸部・腹部の単純X線検査、胃のX線造影検査や腹部CTなどの検査を行って、胃の
治療の方法
慢性型の場合は、横隔膜や胃自体に異常がなければ、多くは体位の工夫、食事を少量ずつ回数を多く摂取する、浣腸による排便・排ガスの促進などの保存療法によって軽快します。
急性型で完全閉塞を起こした場合は、循環障害によって胃壁の壊死を生じる危険性があるので、胃管挿入などで軽快しない場合には緊急に開腹手術を行う必要があります。手術療法は、捻転を整復したのちに原因疾患の治療と、胃を腹壁や横隔膜に固定する胃固定術を行います。胃が壊死している場合には胃切除が必要な場合があります。また、最近では腹腔鏡による治療も試みられています。
病気に気づいたらどうする
痛みや嘔吐が激しい場合は、すぐに病院に行ってください。子どもは小児科を、大人は内科もしくは外科を受診してください。
日常生活では食事の過剰摂取を避け、排便習慣をきちんと整えるよう工夫しましょう。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報