胃軸捻転症

内科学 第10版 「胃軸捻転症」の解説

胃軸捻転症(先天性胃・十二指腸疾患)

(4)胃軸捻転症(volvulus of the stomach)
病因
 胃の一部または全部が捻転するもので,その回転軸により長軸性(臓器軸性)と短軸性(腸間膜軸性)に分類される.180度以上の捻転で通過障害をきたしたものを胃軸捻転症と総称する.先天的なものでは胃固定靱帯の未熟性もしくは固定不全が捻転を惹起するといわれる.横隔膜疾患や遊走脾に合併することが少なくない.
診断
 上部消化管造影により診断され,短軸捻転では胃底部が幽門部よりも低い逆α像を呈する.長軸型では胃底部の低下はないが,大弯側が小弯側よりも高い,いわゆるupside-down stomachを呈する.腹部CT検査でも診断が可能である.
臨床症状・治療
 症状的には急性型と慢性型に分けられる.
1)急性型:
各年齢にみられるがまれである.突発的な腹痛で発症する.高位イレウス症状で,Borchaedtの3徴,①急激に起こる腹痛と上腹部膨隆,②吐物のない嘔吐発作,③胃管の胃内への挿入困難,を呈する.緊急手術の適応となる.開腹手術による捻転の解除と,胃前壁固定術などを行う.最近では内視鏡下に捻転を整復した後,腹腔鏡下に胃壁固定を行うことも試みられている.
2)慢性型:
新生児乳児に多くみられる.繰り返す嘔吐,上腹部膨満,慢性の上腹部痛が症状となる.腹臥位上体挙上や胃管による減圧など保存的に加療することが可能で,成長に伴い軽快・治癒することが多い.[前田貢作]
■文献
Kimura K et al: Diamond-shaped anastomosis for duodenal atresia: an experience with 44 patients over 15 years. J Pediatr Surg, 21: 1133-1136, 1986.
日本小児外科学会学術・先進医療検討委員会:我が国新生児外科の現況—2008年新生児外科全国集計—.日小外会誌,46: 101-114, 2010.
Tan KC, Bianchi A: Circumumbilical incision for pyloromyotomy. Br J Surg, 73: 399, 1986.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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