背向(読み)ソガイ

デジタル大辞泉 「背向」の意味・読み・例文・類語

そ‐がい〔‐がひ〕【向】

後ろ向き。背中合わせ。
「お町は顔を真紅まっかにして―にもなられず」〈柳浪・骨ぬすみ〉
後方背後
筑波嶺に―に見ゆる葦穂山悪しかるとがもさね見えなくに」〈・三三九一〉

はい‐こう〔‐カウ〕【背向】

そむくことと、従うこと。向背

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「背向」の意味・読み・例文・類語

そがいそがひ【背向】

  1. 〘 名詞 〙 うしろの方。背後。また、うしろむきであること。
    1. [初出の実例]「筑波嶺に曾我比(ソガヒ)に見ゆる葦穂山悪(あ)しかる咎(とが)もさね見えなくに」(出典:万葉集(8C後)一四・三三九一)
    2. 「人々を見てあやしげにまもりたるに、真女子もまろやも此人を背(ソガヒ)に見ぬふりなるを、翁渠(かれ)二人をよくまもりて」(出典:読本・雨月物語(1776)蛇性の婬)

背向の補助注記

ソはセ(背)の母音交替形。「万葉集」には「背」「背向」などとも表記され、ソムカヒの縮約とみられる。「前後」または「向かったり背にしたりする」意の漢語「背向」の翻訳語とみる説もある。


はい‐こう‥カウ【背向・背郷】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 背くことと従うこと。向背。〔漢書芸文志
  3. 背の方を向けること。うしろむき。また、背くこと。
    1. [初出の実例]「玁狁のゑびすが、はいかうした西戎を退治せうとて大将をやられた」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)九)

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