家庭医学館 「胎児と新生児」の解説
たいじとしんせいじ【胎児と新生児】
胎児が子宮の外に出てからみせるもっとも劇的な変化は、呼吸を開始し、それを維持することです。胎内ではへその緒(お)を介して母親から酸素と栄養を供給され、老廃物を処理していましたが、へその緒が断たれた瞬間から、新生児はそれらを自分でまかないます。
へその緒が結紮(けっさつ)・切断され、産声(うぶごえ)があがった瞬間、新生児の肺に大量の血液が流れ始め、胎児期に重要な役割をはたしていた動脈管が閉鎖するなど、その循環動態(じゅんかんどうたい)は激変します。また、自分の肝臓で血液の老廃物を処理し始めるため、生後しばらくは黄疸(おうだん)が出ます。
胎児が分娩(ぶんべん)という物理的に大きなハードルを乗り越え、さらに生理的な激変を経ることが、分娩損傷や呼吸障害など新生児特有の疾患の原因となるのです。