胚細胞腫瘍(読み)はいさいぼうしゅよう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「胚細胞腫瘍」の意味・わかりやすい解説

胚細胞腫瘍
はいさいぼうしゅよう

精子や卵子のもとになる細胞(原始胚細胞、原生殖細胞)から発生する腫瘍総称。生殖細胞腫瘍ともいう。精巣および卵巣性腺(せん)に発生するものは良性でほとんどは予後も良好であるが、性腺の外に発生する性腺外生殖細胞腫瘍は悪性であることが多い。また一般に若年層、とくに10歳以下の発症では悪性率が高くなる傾向がある。性腺外生殖細胞腫瘍は、後腹膜、仙尾部、腸間膜、縦隔、中枢神経系(松果体、鞍(あん)結節周囲)など人体の正中線上に沿って発生することが多い。女性の卵巣に発生する胚細胞腫瘍は、卵巣腫瘍全体の20~25%を占めるとともに20歳以下の若年者に好発する傾向がある。

 制癌(がん)剤開発の飛躍的進歩に伴って、悪性胚細胞腫全体の予後は著しく改善され、とくに多剤併用療法による治療は効果が高いとされる。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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