脳波検査(読み)のうはけんさ

四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「脳波検査」の解説

脳波検査


■脳波の波形分類と名称


脳の活動の変化や機能的異常を調べる検査です。検査時間は、検査法により異なりますが、通常は約30分ほどです。

てんかんや頭部外傷を調べるとき重要な検査

 脳の神経細胞の活動は、微細な電気的変動として現れます。脳波とは大脳皮質表面の電気的変動を頭皮上に電極をつけて誘導し、増幅させて記録したものです。てんかんでは、小発作、大発作精神運動発作など発作の種類によって特徴的な波形を示し、診断上、脳波検査は重要です。

 また、頭部外傷で脳の組織は壊れてはいないが働きが悪くなった場合でも、脳波の波形によって脳の活動の変化、脳の機能的異常を知ることができます。

 その他、脳波の検査では脳動脈硬化症脳血管障害脳腫瘍、肝性昏睡こんすいなどが診断できます。

刺激を与えながら検査する

 シールドルームと呼ばれる電気的に隔離された検査室で行われます。検査台にあお向けになり、頭皮に10数個の電極を、ペーストと呼ばれる糊をつけて固定したのち、脳波を測定します。

 脳波検査の種類には、安静時の脳波を調べるほかに、深呼吸したり、目を開閉したり、光や音の刺激を与えたり、薬物を注射したり、眠ったり(睡眠薬による誘発睡眠や自然睡眠)して脳波を調べる検査(脳波賦活ふかつ法という)などがあります。

 検査時間は、どの脳波賦活法を行うかによって異なります。通常は30分程度ですが、2時間くらいかかることもあります。

α波は安静閉眼時に出現して正常

 脳波には、図のように基礎波と突発性異常波があり、それぞれに意味があります。

 基礎波のδデルタ波は病的、θシータ波は生理的(徐波じょはは機能低下を示す)、αアルファ波は安静閉眼時に出現して正常βベータ波は安静開眼時に出現して正常~やや刺激されている状態です。

 突発性異常波は、異常興奮しているときに出現します。

 なお、徐波とは基礎波のα波より遅い波、棘波きょくはとは波の持続時間が12分の1秒以下のトゲのような波のことです。

検査前後は洗髪を

 検査の前の飲食は、普段と同じでかまいません。電極は糊で頭皮に固定するため、検査前には洗髪して清潔にし、終わったら糊を洗い流してください。

 検査時間が長くなる場合に備え、トイレは済ませておいてください。

疑われるおもな病気の追加検査は

◆脳血管障害、脳腫瘍→頭部CT、MRPET-CT、頭部血管造影など

◆頭部外傷→頭部CT、頭部血管造影など

◆てんかん→頭部CTなど

医師が使う一般用語
「のうは」

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「脳波検査」の意味・わかりやすい解説

脳波検査
のうはけんさ
electroencephalography

手足を動かしたり,物を見たりする脳の機能は神経細胞の電気的活動によって行なわれている。この電気的活動を観察して診断の補助とするのが脳波検査である。脳卒中によって脳細胞に異常が起きれば,この電気的活動が低下するから,脳波に異常が現れる。脳波は心電図と異なり,不規則な速波 (サイクルの多い波) や徐波などが混在した波形で,これを一定時間連続して記録する。また光刺激や音刺激などの負荷や誘発を行なったり,コンピュータで何百回何千回の波形を加算したり,その他の処理をしたりして,脳皮質や脳幹の機能をより選択的に抽出しようとする電気生理学的な方法も考えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の脳波検査の言及

【ひきつけ】より

… 重積状態とは,痙攣発作が長時間続くか,反復して起こり,発作間欠期に意識が戻らない場合をさし,この状態が続くと生命にかかわったり,重大な後遺症を残すので,なるべく早く止める必要があり,また止まったあとも入院治療が必要なことが多い。
[原因と脳波検査]
 痙攣発作の原因には種々のものがある。脳起源のことが多いが,脊髄起源のものもある。…

※「脳波検査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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