腟癌(読み)ちつがん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「腟癌」の意味・わかりやすい解説

腟癌
ちつがん

腟に原発した癌をいい、他の部位から転移したものは含まない。また、腟癌が子宮頸(けい)部まで達したものは子宮頸癌、外陰部に波及したものは外陰癌として区別される。

 腟癌は女性性器癌の1~2%を占め、子宮頸癌よりやや高齢の50~60歳代に多いが、20~30歳代にも発生する例がある。また、子宮頸癌と同様に、経産回数が多いほど多くみられる。発生部位は腟の上部後壁と前壁に多く、後壁の場合は直腸、前壁では尿道や膀胱(ぼうこう)に波及しやすい。大多数は出血に始まり、明らかな出血(不正出血)または血性帯下(たいげ)(おりもの)として認められる。また、腟壁は薄く、リンパ管に富むため、リンパ節転移が早期にみられる。

 診断と治療は、子宮頸癌に準ずる。早期のものに対しては手術療法進行癌には放射線療法を行い、発生部位によっても適宜使い分ける。また、化学療法免疫療法も補助的に併用される。治癒率は子宮頸癌より悪いが、早期に発見されれば治療も容易で、治癒率もよい。

[新井正夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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