子宮癌(読み)シキュウガン(英語表記)cancer of the uterus

デジタル大辞泉 「子宮癌」の意味・読み・例文・類語

しきゅう‐がん【子宮×癌】

子宮に発生する癌。子宮頸癌しきゅうけいがん子宮体癌とがある。

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精選版 日本国語大辞典 「子宮癌」の意味・読み・例文・類語

しきゅう‐がん【子宮癌】

  1. 〘 名詞 〙 子宮に生ずる癌。発生部位により子宮頸癌と子宮体癌に分けられ、かなり性質が異なる。日本では、前者が九割を占める。
    1. [初出の実例]「母親のお辰が〈略〉寝付いてゐた。子宮癌とのことだった」(出典:夫婦善哉(1940)〈織田作之助〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「子宮癌」の意味・わかりやすい解説

子宮癌 (しきゅうがん)
cancer of the uterus

子宮に発生する癌で,かつては癌による女性の死亡のうち,胃癌,肺癌についで多いものであったが,その他の臓器癌による死亡が増えたため,相対的に順位は低下した。しかし,子宮癌は他の癌より治る率がかなり高いことを考えると,実際に子宮癌にかかる人は,女子では胃癌とあまり違わないほど多く,1年に1万数千人発生していると推定される。癌というと,非常に治りにくい,恐ろしい病気と考えられているが,子宮頸癌の場合は,全体の平均として2/3以上の人が治る。しかも,比較的容易に早期発見できる方法がすでに確立している。したがって,日常気をつけて検診を受けていれば,子宮癌で死ぬ人はほとんどなくすることもできる。女性に多い癌であるが,しかし恐れる病気ではないという認識がたいせつである。

子宮には頸部と体部があり,子宮頸部の先端は腟のいちばん奥の中央のところに突出しており,子宮腟部と呼ばれている。子宮腟部の中央には頸管が開口しており外子宮口と呼ばれている。子宮癌には子宮頸部に発生する(その多くは外子宮口付近に発生する)子宮頸癌cancer of the uterine cervix(略して頸癌)と,子宮体部に発生する子宮体癌cancer of the uterine body(略して体癌)とがある。頸癌と体癌はたんに発生した場所が異なるだけでなく,発生しやすい年齢や発生を助長している因子などで違いがあり,また診断,治療の方法がかなり異なるので,両者を区別している。日本では従来は子宮癌の95%が頸癌であったが,近年体癌が増加しており,子宮癌の10%を超えるようになってきた。

子宮癌の治りやすい第1の理由は,早期に発見しやすいことである。前記のように頸癌は外子宮口付近に発生するが,この部分は直接目で見たり,さわって診察できる場所であり,体癌の場合はやや困難ではあるがそれでも外部から接近可能の部位である。しかも,診断方法は比較的簡単で,大規模な診断器械を必要としない。診察は外来で短時間のうちに,しかもほとんど痛みもなくできる。したがって多数の人を集団的に健康診断することもでき,文字どおり顕微鏡的な小さな癌でも多数発見されている。

 子宮癌の治りやすい第2の理由は,治療しやすい点である。子宮は子どもをつくるうえでは欠くべからざる器官であるが,その人個人の生命維持にとってはまったく必要のない器官である。したがって子宮の保存を考える必要がなく,十分に治療を加えることができる。癌を治療するおもな武器は手術と放射線であるが,子宮癌に対してはこの二大武器を使うことができる。たとえ手術ができないほど進行していても,放射線で治療すれば多くの患者を救うことができる。また手術と放射線を組み合わせた治療をすることもできる。以上のように,早期に発見しやすいし,また十分な治療がしやすいので,子宮癌はよく治るわけである。

頸癌では病気の進み具合の程度によってⅠ期からⅣ期まで分類されているが,このほかに0期と呼ばれているものがある。子宮頸部の上皮が悪性の腫瘍になると必ず上皮の下の組織に侵入する。このようになったものが癌であるが,0期では上皮の細胞は癌になっているが上皮下の組織に侵入していない。このような状態を上皮内癌または0期の癌と呼んでいる。癌になる一歩手前の状態であるからもちろん転移はなく,治療すると100%といってよいほど治癒する。しかも治療方法は簡単である。したがって0期のうちに見つけて治療することが頸癌治療の最良の方法であり,集団検診や定期的健診ではこの状態で見つかることが多い。

子宮癌ではじめて気がつく症状は,不正性器出血が最も多い。子宮癌がある程度進行すると,くずれやすい組織なので出血する。少量の出血であると,腟の中にたまってから排出されるので,黒ずんだおりものとして排出される。排便のときにいきむと血液が排出されて紙につき気づくことがある。性交のさいに子宮腟部にある癌がこすれて出血する。したがって性交のさいの,またはそのあとの出血で癌に気づくことが最も多い。逆に夫を失った人や高齢の人では,出血の現れるのが遅くなりがちである。たとえば高齢者では,昨日はじめて出血したということで診察を受けたときにはすでに頸癌Ⅲ期になっていた,というようなこともまれではない。出血の量や色などに子宮癌特有のものはない。月経の量が多かったり長びいたり,月に2~3回もみることがある。これは月経のさいに癌からの出血が多くなったり,また月経と月経との間に癌からの出血が起こる結果,月経の回数が増加しているように感ずるわけである。月経が閉止してから相当期間たってからの出血は,たとえ1滴の血がおりただけでも危険信号と考えたほうが安全である。出血がなくても,水のような,または黄色いおりもの,またはねばついたおりものが現れることもある。また下腹部の重苦しい感じや腰の痛みなどではじめて気づくこともある。

 以上のような症状は子宮癌が相当進行するまで現れないことがある。さらに0期ではむしろ無症状のことが多い。この時期でも検診すれば早期発見することは困難ではない。このような理由で,定期的な健康診断の重要さが強調されているのである。1年に1度は必ず健康診断を受けることを勧めたい。医師会や保健所などが中心となって健康診断を行ういわゆる集団検診が全国的に行われている。その通知がきたら,良い機会であるから必ず受診するようにしたいものである。

子宮癌の診断方法は,問診,婦人科的内診,細胞診,コルポスコピーcolposcopy,組織診などからなっている。

(1)細胞診cytodiagnosis 組織の表面からはがれ落ちた細胞,または組織の表面をこすりとって採取した細胞を染色して顕微鏡で観察する診断法を細胞診またはスメア・テストsmear testという。癌の診断への応用はギリシア生れのパパニコローG.N.Papanicolaou(1883-1962)により1928年に確立され,各種の癌診断に欠かせぬものである。ことに子宮癌ではその臨床的価値はきわめて大きい。頸癌は外子宮口付近に発生するので,そのあたりを綿棒かへらでこすり,それをガラス板に塗り,染色して顕微鏡で見る。癌があると癌細胞が発見できる。この方法は受診者にはまったく痛みがなく,わずかの時間しか要せず,出血もほとんどない。しかも診断の正確度が高い。したがって多人数を検査する集団検診にはきわめて好都合で,集団検診では細胞診を主体とした検査をまず行い,異常細胞を発見した症例について組織診などの二次検診を行うのが通例である。細胞診の判定結果は(-)(±)(+)の3通りに分けることもあるが,婦人科ではクラスⅠ(正常細胞),Ⅱ(癌ではない異常細胞),Ⅲ(癌の疑い),Ⅳ(強く癌が疑われる),Ⅴ(癌細胞)の5段階に分けている(パパニコロー分類)。細胞診の判定結果でクラスⅢ,Ⅳ,Ⅴのいずれかの場合は次の組織診を行う(病院での診察では細胞診をはじめとして必要な癌の検査を同時に行うことも多い)。なお癌があるのに細胞診で癌と検出できない率(偽陰性率)は,材料の不適などいくつかの原因があるが,頸癌の場合は10%以下と考えられている。子宮癌は細胞診で癌細胞と判定されても,直ちに治療を行うことはしない。必ず組織診で癌と確定してから治療を始める。それは,細胞診で癌と診断されても,癌でない場合(偽陽性率)が,低率ではあるが,存在するからである。

(2)組織診biopsy 疑わしい部位から組織をとり,標本を作って顕微鏡検査をするのを組織診という。採取する組織は米粒大のもので,少し出血をするが縫合する必要はまずない。組織を採取するさい,コルポスコープという器械で局所を観察しながら採取する。

(3)円錐切除診conization 外来で採取する組織は小さいので,ごく初期の癌か0期の癌か区別しにくいことがある。このような場合,子宮腟部を頸管を中心として円錐状にきりとり,それについて詳細な組織検査をする。その結果,上皮内癌であれば子宮をとらないですむこともあり,ことにまだ子どもを欲しい人では,なるべく子宮を温存する。円錐切除診には数日間の入院を要する。

 以上は頸癌の診断方法であるが,体癌の場合は体部から材料を採取して細胞診や組織診を行う。このさいは若干の痛みを伴うのが普通である。

前記のように手術治療も放射線治療もきわめて有効である。

(1)手術治療 頸癌はたとえI期でも子宮の外に癌が転移している可能性がある。したがって子宮の周囲の組織は骨盤壁にいたるまで十分に摘出し,骨盤内のリンパ節もすっかりとりさる。このようにかなり大きな手術であるので,かなり長時間を要し,また出血も多いので輸血を要する。しかし,麻酔方法が進歩しているので,患者は眠っているうちに治療が終わり,手術後の苦痛も少ない。手術のために命を失うことはまずない。しかし,手術にも難点はある。膀胱の周囲の組織もすっかりきりとられるので,手術後すぐには自分で尿を出しにくい。また頑固な便秘にもなりがちである。手術で摘出した組織の病理検査を行い,必要があれば念のために放射線治療を追加する。ただし0期の癌では,子宮をとるにしても子宮だけでよいので,輸血も必要とせず,排尿,排便の障害もなく,放射線治療を追加する必要もない。入院期間も短い。この点からみても,無症状のうちに定期的検診を受けることが重要である。

(2)放射線治療 頸癌の治療には,放射線治療がきわめて有効である。事実,欧米諸国では放射線治療を手術よりも主役としているところが多い。しかし日本では一般に,局所的にまた全身的に安全に手術しうる場合は手術を,そうでない場合は放射線治療を選択している。放射線治療では,子宮,腟内にラジウムなどを挿入する腟内照射と,X線を外部から照射する外部照射とを組み合わせて,手術で摘出する範囲を照射する。手術の場合と異なる副作用があるが,それによって治療を完遂しえないことはまずない。手術にせよ放射線治療にせよ,退院後は医師の指示どおりに,ときに通院することが必要である。

手術治療が主である。子宮を摘出し,骨盤内リンパ節も摘出する。手術後に放射線を照射することもあり,また手術不能の場合は放射線治療を行う。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「子宮癌」の意味・わかりやすい解説

子宮癌
しきゅうがん
uterine cancer

子宮に原発する癌で、女性では臓器癌のうち胃癌に次いで多い。発生部位によって子宮頸(けい)癌と子宮体癌に分けられるが、両者はまったく別の癌として扱われているほど、発生素因や組織学的構造、症候や進展状況、治療や予後などもすべて異なる。しかしまた、日本では子宮癌の80%以上が子宮頸癌であり、子宮癌といえば子宮頸癌をさす場合が多い。なお、両者とも治療に先だって進行の程度を国際規約(1961年、国際産婦人科学会癌委員会採択の規約)によって決められた臨床進行期分類に従ってかならず分類される。予後はいかなる治療が行われたにしても、治療が開始されたときの患者の臨床進行期分類に大きく左右され、その段階が進むほど不良となってくる。

[新井正夫]

子宮頸癌

子宮頸部の粘膜から発生し、とくに外子宮口付近、すなわち腟(ちつ)部を覆う多層の扁平(へんぺい)上皮と頸管部を覆う1層の円柱上皮との境界部が、発生上もっとも重要な部分とされる。40歳から50歳代に多いが、ごく初期の段階では集団検診などで30歳代に発見される率が高く、20歳代にもみられることがある。したがって子宮癌の定期検診は、30歳を過ぎれば受けるべきである。

 子宮頸癌は、進行程度によって0(ゼロ)期からⅣ期までの5段階に分けられる。0期やⅠ期の初めころにはほとんど症状がなく、臨床前癌とよばれているほどである。初発症状としては、せいぜい性交後に少量の出血(接触出血)をみる程度である。しだいに癌の浸潤が進むと出血しやすくなり、性交後にたびたび出血するほか、排便や排尿時にも出血しやすくなる。また、汚れた「おりもの」がある。このようなときには、年齢を問わず、即刻診察を受ける必要がある。Ⅲ期では癌が骨盤壁に及んで神経を圧迫し、神経痛がおこる。また、下肢や下腹部にむくみ(浮腫(ふしゅ))がみられる。

[新井正夫]

診断

次の三つを組み合わせて行う。

(1)細胞診 腟の内容や子宮口付近を擦過してガラス板に塗抹し、染色して顕微鏡で癌細胞の有無や進行の程度を判定する。早期発見に欠かせない検査法で、女性が自分で腟内容を採取してガラス板に塗り、検査所に送る方法もある。

(2)コルポスコープ診 コルポスコープ(腟拡大鏡)で子宮口周辺全般を観察し、とくに癌が発生しやすい部位を撮影したり模式図で記録するもので、コルポ診とも略称される。

(3)組織診 細胞診やコルポ診で異常所見や癌が疑われたときに行われ、特殊な切除器で疑いのある部位の組織の一部を採取し、組織標本をつくって顕微鏡で調べる。子宮癌の確定診断は組織診によって決定される。

[新井正夫]

治療

治療法としては手術と放射線療法が主であり、場合によって化学療法や免疫療法なども行われる。臨床進行期の0期では、腟部円錐(えんすい)切除ないしは子宮単純全摘除術で100%治癒が期待できる。Ⅰ期およびⅡ期では根治手術か放射線療法が行われ、Ⅲ期とⅣ期の場合は主として放射線療法、場合によっては手術、あるいは手術と放射線療法の併用、全身転移例には化学療法も行われる。

[新井正夫]

子宮体癌

白色人種に多く、肥満および糖尿の傾向のある人、高血圧や不妊の人などに多くて若い女性には少ないが、近年増えつつある。

 月経に似た出血が長く続いたり不正出血がときどきみられ、とくに閉経期の月経不順や閉経後の出血は精密検査が必要である。診断には、子宮腔内の分泌物を吸引して細胞診を行うとともに、診査掻爬(そうは)による組織診を必要とする。

 臨床進行期分類では子宮頸癌と同様に0期からⅣ期まで分類されるが、細部の点で異なり、Ⅰ期では子宮の大きさや病理組織像が問題にされる。治療としては、体癌の大部分が放射線感受性の低い腺(せん)癌であるため手術が優先される。単純全摘出術の適応例が多く、治癒率も一般に頸癌より良好である。近年はまた、ホルモン療法として合成黄体ホルモン(ゲスタゲン)の大量投与が有効とされている。

[新井正夫]

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四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「子宮癌」の解説

子宮がん

 子宮がんは、子宮の入口付近のくびれた部分にできる子宮けいがんと、子宮の本体部分にできる子宮たいがんに分けられます。

 発生率としては2対1くらいで頸がんのほうが多いのですが、近年、体がんの占める割合が増えつつあります。

●おもな症状

 頸がん、体がんとも初期は無症状のことが多く、進行に伴い、不正性器出血、ピンクや茶褐色のおりものなどがみられます。頸がんでは、性交時の接触出血があることもあります。体がんでは、ほとんどの例で不正性器出血がみられています。

〔子宮頸がん〕

①子宮頸部細胞診(擦過細胞診)

  ▼

②腟鏡診(クスコ診)/腟拡大鏡診(コルポスコープ診)/腫瘍マーカー

  ▼

③超音波/CT/MR /PET-CT

  

〔子宮体がん〕

①子宮内膜細胞診

  ▼

②子宮内膜組織診/腫瘍マーカー

  ▼

③超音波/子宮鏡検査

  ▼

④CT/MR /PET-CT

子宮頸がんは内診と細胞診でだいたいわかる

 子宮頸がんは、検診が普及した影響もあり、集団検診などで早期で発見される率が高まっています。一般に30歳以上が検診の対象になっていますが、20歳代でも必要性があるといわれています。

 最初は、検診でも実施されている子宮頸部細胞診(擦過さっか細胞診→参照)を行います。綿棒やブラシを用いて子宮頸部をこすり、細胞を採取して病理検査を行います。

 細胞診でがんが疑われたら、腟鏡診ちつきょうしん(クスコ診)や腟拡大鏡診(コルポスコープ診)を行ってさらに精密に調べ、異常があればその部分の組織を採取して病理検査をします。

 腫瘍マーカー(→参照)は、頸がんにはSCCなどが使われています。その他、必要に応じて腹部超音波(→参照)や腹部CT(→参照)、MR(→参照)などを行います。

子宮体がんは組織診と画像診断が有効

 子宮体がんでは、細いチューブやブラシを子宮の奥のほうに入れて子宮内膜細胞を採取し、病理検査を行います(子宮内膜細胞診)。細胞診でがんが疑われたら、少し大きめに組織を採取して調べます(子宮内膜組織診)。

 腫瘍マーカーは、体がんの場合はCEA、CA125などが使われています。その他、がんの広がりや進展の具合を調べるには、経腟超音波(腟口から小さなプローブを挿入して行う)やMR、CTが有効です。内視鏡の一種である子宮鏡を用いることもあります。

 体がんでも出血がみられないこともあるので、無症状でも45歳を過ぎたら検診を受けることがすすめられます。

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食の医学館 「子宮癌」の解説

しきゅうがん【子宮がん】

《どんな病気か?》


 子宮(しきゅう)がんのうち、子宮の入り口付近で発生するのが子宮頸(しきゅうけい)がんです。若い女性でもみられるのが特徴で、出産年齢が若く、出産回数の多い人、性交渉の相手が多い人などに、高率で発生するといわれています。
 一方、子宮体(しきゅうたい)がんは子宮の内部(体部)に発生するもので、その要因は、閉経後の50~60歳代に発生する人が多いことから、女性ホルモンが影響していると考えられています。高齢出産、妊娠・出産の有無、月経不順(げっけいふじゅん)、卵胞(らんぽう)ホルモン投与の有無などが、リスクファクターといえます。
 いずれも初期症状はほとんどなく、進行すると不正出血(ふせいしゅっけつ)や悪臭をともなうおりものがみられるようになります。定期的に健診を受け、早期発見・早期治療がたいせつです。

《関連する食品》


○栄養成分としての働きから
 米国がん協会の発表では、子宮頸がんはカロテンやビタミンCの不足が原因にあげられています。ニンジンやピーマンなどの緑黄色野菜、パパイアやイチゴなどを積極的に摂取しましょう。
〈女性特有のがんにはDHA。子宮体がんは脂質をひかえる〉
 また、子宮体がんは、欧米の女性に多くみられるがんでしたが、近年は日本人女性でも増加がみられることから、食生活の欧米化が原因ではないかと考えられています。動物性脂質をひかえ、ビタミンやミネラルを多く摂取しましょう。
 そして、女性特有のがんを防ぐ効果があるといわれているのがDHAです。サバやサンマ、イワシなどで、たっぷりと摂取しましょう。

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百科事典マイペディア 「子宮癌」の意味・わかりやすい解説

子宮癌【しきゅうがん】

子宮に発生する癌。子宮頸(けい)癌と子宮体癌がある。日本女性の癌の3分の1から4分の1が子宮癌。その90〜95%が頸癌だが,年々体癌が増加傾向にある。頸癌は40〜50歳代に最も多く,次に30歳代となる。体癌は欧米人や未婚・不妊女性,年齢では50歳代に多い。初期症状として子宮不正出血と,少量の帯下(たいげ)があり,進行すると出血は多量となり持続し,帯下は悪臭のある血性帯下となる。癌が浸潤・転移すると,神経,血管,尿管などが圧迫されて,下腹痛,下肢腰疝(せん)痛,排尿痛,尿閉,便秘,尿毒症などが起こり,全身衰弱をきたす。治療は初期には子宮全摘除術,進行癌には放射線治療,化学療法,免疫療法などを併用する。子宮癌は早期に発見して治療すれば90%以上が永久治癒(ちゆ)(治療後5年以上再発しないもの)となるので,定期検診を受けることが必要。
→関連項目塩酸イリノテカン月経閉止専門人間ドック乳癌ホルモン補充療法

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知恵蔵 「子宮癌」の解説

子宮がん

大きく子宮頸部の頸がんと子宮体部の体がんに分けられ、両者は発生要因の上でも、治療の点でも異なっている。子宮頸がんは著しく減少しつつあるが、子宮体がんは増加傾向にある。頸がんと体がんでは診断方法、治療方法が異なる。頸がんの原因としてヒトパピローマウイルス(HPV)が挙げられている。一方、体がんのリスク因子として女性ホルモン(エストロゲン)がある。頸がんは集団検診などで早期に発見されることが多いが、体がんは発見されにくい。自覚的には、頸がんの場合は性交時の接触出血、体がんの場合は閉経後の不正出血がある。治療は子宮摘出術が基本。さらに進行していれば、放射線、化学療法が行われる。5年生存率は約70%.

(黒木登志夫 岐阜大学学長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

家庭医学館 「子宮癌」の解説

しきゅうがん【子宮がん Uterine Cancer】

◎発生部位により2つに分類
 一般に、子宮がんといわれるがんは、発生する場所によって2種類に分けられます。図「子宮がんの発生部位」に示したように、子宮頸部に発生するがんを子宮頸(しきゅうけい)がん、子宮体部に発生するがんを子宮体(しきゅうたい)がんといいます。日本人の子宮がんのうち、80~90%が子宮頸がんです。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「子宮癌」の意味・わかりやすい解説

子宮癌
しきゅうがん
uterine cancer

子宮に発生する癌で,発生部位によって,子宮頸癌と子宮体癌に分けられる。早期診断法としては,試験切除や組織切片の組織学的検査,腟脂膏の細胞学的検査が重視されている。子宮からの不正出血によって発見されることが多い。発見が比較的早いことが多いことと,子宮が生命維持からみれば2次的な臓器であるために,癌に対する手術のなかでは,予後が比較的よい。進行した癌でも,放射線療法によってかなりよく治癒することが多い。

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世界大百科事典(旧版)内の子宮癌の言及

【子宮筋腫】より

…第3が子宮の単純全摘術で,これは子宮だけを全部(卵巣や卵管は残して)取る方法である。子宮筋腫は体部筋腫がほとんどであるから,子宮全体(頸部までも)を取る必要は必ずしもないのであるが,子宮癌を発生しやすい中年以後の年齢に発見された場合に,子宮癌の発生しやすい子宮頸部をも予防的に取るという方法で,現在ではかなり多くの場合にこの手術方法が用いられている。最近ではエストロゲンに対して強い抑制作用を示すGnR‐analog製剤が用いられ,貧血の改善や腫瘍の縮小が期待される子宮全摘術の術前投与としても有用である。…

※「子宮癌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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