日本大百科全書(ニッポニカ) 「膀胱結核」の意味・わかりやすい解説
膀胱結核
ぼうこうけっかく
結核性膀胱炎ともいい、結核菌によっておこる特異性膀胱炎である。おもに肺の病巣から結核菌が腎臓(じんぞう)に血液によって運ばれ、腎結核をおこしたのち尿流に従って膀胱に達し、結核結節や結核潰瘍(かいよう)などの病変をつくる。症状としては、大腸菌などによる普通の膀胱炎と大差なく、頻尿、排尿痛、残尿感などが主体となるが、男性や難治例では膀胱結核が疑われる。尿中に白血球、また結核菌が認められるが、大腸菌などの一般細菌は通常認めない。膀胱に結核性病変がある場合は、かならず腎臓にも結核があると考えなければならない。治療は抗結核薬による化学療法を行うが、高度の結核性萎縮(いしゅく)膀胱に対しては手術が必要である。
[河田幸道]