家庭医学館 の解説
まくせいぞうしょくせいしきゅうたいじんえんのしんだんきじゅんだぶりゅえいちおーぶんるいせんきゅうひゃくななじゅうなな【膜性増殖性糸球体腎炎の診断基準(WHO分類、1977)】
②低補体血症の率が高い。健康診断の尿検査で異常が軽度でも、C3の値が50mg/dℓ以下なら膜性増殖性糸球体腎炎が疑われ、30mg/dℓ以下であればその可能性がある。
③溶連菌感染などによる急性腎炎症候群で、CH50(補体価)やC3の値が 2.5か月以上持続して低い場合は、膜性増殖性糸球体腎炎の可能性を考える。
④むくみ、高血圧、腎機能低下がみられることがある。
⑤C3腎炎因子、C4腎炎因子が検出される。
⑥確定診断は腎生検所見により行なわれる。
a.光学顕微鏡所見:メサンギウム細胞の増殖や基質の増加があり、しばしば分葉状になる。多型核白血球をみることがある。基底膜の肥厚や二重構造化がみられる。
b.蛍光抗体法所見:C3が、免疫グロブリンに比較して強く沈着している。
c.電子顕微鏡所見:沈着物のある部位から、3つのタイプに分類される。
Ⅰ型:内皮下沈着物
Ⅱ型:基底膜内の電子密度の高い帯状の沈着物
Ⅲ型:上皮下沈着物
イ.無症候性たんぱく尿・血尿症候群で発見される場合が、15歳未満は約70%、15歳以上では約30%。
ロ.初診時の低補体は約55%。病気の進行につれ約90%の人に低補体がみられる。
ハ.腎炎因子の検出率は、Ⅰ型で30%、Ⅱ型は70~80%。
ニ.Ⅲ型は、内皮下沈着物と膜性腎症に類似した上皮下沈着物がみられる。Ⅰ型とⅢ型のちがいについては明確にされていない。
ホ.Ⅰ、Ⅲ型を膜性増殖性糸球体腎炎といい、Ⅱ型はデンスデポジット病ともいう。
(資料/第38回日本腎臓学会学術総会記念:腎臓病学の診断アプローチ)