基底膜(読み)キテイマク

世界大百科事典 第2版の解説

きていまく【基底膜 basement membrane】

動物の体表をおおう上皮の下側に,その裏打ちをするように張る板状構造物をいう。細胞膜や,細胞内の膜とはまったく構造的に異なるので基底板basal laminaとよばれることが多い。厚さ約500~1000Åで,ムコ多糖類,膠原(こうげん)細繊維を含み,銀染色で黒く染まり,糖質の染色法である過ヨウ素酸シッフ反応periodic acid‐Schiff reaction(別名PAS反応)では桃色に染まる。電子顕微鏡でみると,上皮細胞の細胞膜にそってその下に一定の間隔を隔てて中等度の電子密度のぼんやりした構造物として認められる。

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大辞林 第三版の解説

きていまく【基底膜】

内耳の鼓室とうずまき細管との間にある膜。
上皮細胞・筋細胞・神経組織とそれらの外側の結合組織の境界にある膠原繊維や細胞外器質より成る薄い層状構造。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

基底膜
きていまく

体表面や体内の諸臓器の内面を覆っている上皮組織の基底面は、結合組織によって裏打ちされているが、その基底面と結合組織との間には、光学顕微鏡で見ると無構造な薄い層が連続して認められる。これが基底膜とよばれるものであり、電子顕微鏡で調べると、この部分では、上皮細胞の底部に接するタンパク質と多糖類とに富んだ、基底板とよばれる層と、その外側に微細線維が密に走っている層があり、両者で基底膜を形成していることがわかる。現在では、基底板が、すなわち基底膜と考えられている。また、かつては内耳のラセン板を基底膜とよんだが現在は用いられていない。[嶋井和世]

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精選版 日本国語大辞典の解説

きてい‐まく【基底膜】

〘名〙
① 内耳にあるうずまき細管の下側の膜。鼓室階に接し、その外リンパによる音波の振動をコルティ器に伝える働きをする。
② 上皮とその下にある結合組織との間にある薄い膜。境界膜。〔医語類聚(1872)〕

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世界大百科事典内の基底膜の言及

【組織】より

…特殊な分化をした上皮もあり,視覚,聴覚,平衡覚にあずかるものや,毛,つめ,水晶体のような特異的な物理学的性質を獲得したものがその例である。上皮の下には一般に結合組織があり,境界に基底膜がある。 支持組織は細胞間質に富み,細胞がそれに埋もれたように散在する骨,軟骨,結合組織などは,体や器官の形を保つ枠組として働いている。…

【耳】より

…蝸牛の断面をみると鼓室階,中央階,前庭階に分かれており,前庭階と鼓室階は蝸牛の頂上の蝸牛孔でつながっており,内部に外リンパを含む。中央階は蝸牛管ともいい,前庭膜(前庭階壁,ライスネル膜ともいう),血管条,基底膜(基底板,鼓室階壁ともいう)で囲まれており,内リンパを含む。内リンパを囲む組織を膜迷路という。…

※「基底膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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