内科学 第10版 「膵嚢胞に対する治療」の解説
膵嚢胞に対する治療(内視鏡的膵臓ドレナージ術)(内視鏡的インターベンション)
(内視鏡的膵囊胞ドレナージ術) 急性膵炎や慢性膵炎により形成される,膵膿瘍や膵仮性囊胞に対する治療として行われるものである.径乳頭的にドレナージチューブを留置する方法と,近接する胃または十二指腸を介して囊胞を穿刺してからドレナージチューブを留置する方法とがある.
a.経乳頭的ドレナージ
膵囊胞が主膵管と交通がある症例が適応となる.事前にCTやMRCPなどで位置や大きさ,交通の有無を確認しておくことが重要である.外瘻術である内視鏡的経鼻膵管ドレナージ術(endoscopic nasopancreatic drainage:ENPD)と,内瘻術である内視鏡的膵管ステント留置術(endoscopic pancreatic stenting:EPS)がある.膵液の性状や排液量の確認,囊胞腔の造影などを行うために,最初はENPDが選択される場合が多い.長期間の留置が必要な場合にはEPSに変更する.
b.経胃(経十二指腸)
ドレナージ
経乳頭的アプローチが困難な場合に選択されることが多い.経消化管的に穿刺するためには,囊胞が近接して消化管壁と癒着しており,間に太い血管がないことが条件となる.EUS(超音波内視鏡)ガイド下に慎重に囊胞を穿刺した後に,ダイレーターで穿刺部を拡張して,ドレナージチューブを挿入して内瘻化または外瘻化する.基本的には,腫瘍性囊胞が否定された仮性囊胞が適応である.[矢作直久]
■文献
日本胃癌学会編:胃癌治療ガイドライン(医師用),2010年10月改訂第3版,金原出版,東京,2010.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報