改訂新版 世界大百科事典 「臨時司法制度調査会」の意味・わかりやすい解説
臨時司法制度調査会 (りんじしほうせいどちょうさかい)
臨時司法制度調査会設置法(1962公布)により,1962年5月内閣に設けられた審議会で,法曹一元制度(弁護士など裁判官以外の法律関係職務に従事した者から裁判官を任命する制度)と裁判官,検察官の任用・給与制度を中心とした司法制度全般に関し,緊急に必要な基本的事項につき調査し,64年8月具体的な施策の提言を盛り込んだ意見書を提出した。会長は我妻栄。
意見書は,法曹一元について,〈これが円滑に実現されるならば,日本においても一つの望ましい制度である。しかし,この制度が実現されるための基盤となる諸条件は,いまだ整備されていない〉として,ただちにこれを採用することをしりぞけるとともに,司法制度のすべての分野にわたり,現行制度の改善のため,および将来における法曹一元制度実現の基盤の培養のために,さしあたり採るべき具体案を提案して,大きな反響を呼び起こした。しかし,この意見書は,法曹一元に関する調査会の態度決定等を不満とする日本弁護士連合会の全面批判を招き,その提言した具体的施策は,一部を除き,ほとんど実現されていない。
執筆者:青山 善充
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