知恵蔵 「自己修復ガラス」の解説
自己修復ガラス
研究グループによると、自己修復ガラスは、「ポリエーテルチオ尿素」という高分子化合物でできている。一般的に、ガラスなどの固い材料を構成する高分子化合物は、一度割れると、加熱や溶融をしない限り修復が難しい。しかし、ポリエーテルチオ尿素は、表面は固くてさらさらしているが、破断面を互いに押しつけていると融合する性質があるという。研究グループは、生体分子に使う接着剤を研究する過程で、ポリエーテルチオ尿素を生成し、その性質に気付いた。試作した材料の修復機能を確認したところ、室温における数時間の圧着で、元の強度にまで回復した。
研究グループは、この10年で、ゴムやゲルのような柔らかい材料では、自己修復するものが報告されているが、室温で修復できる固い高分子材料の開発は世界初としている。
(南 文枝 ライター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報