自然改造(読み)しぜんかいぞう

百科事典マイペディアの解説

自然改造【しぜんかいぞう】

広義には人間の生活や生産活動によりよく適合させる目的のもとに,自然の地理的環境を総合的に改造すること。しかしこの言葉は,元来,旧ソ連で,社会主義体制のみが産業の自然的条件を根本的に変更する大規模な国土開発をなし得るという立場から,社会主義的な国土総合開発計画を指して使われ始めたものである。1949年以降,ボルガ・ドン川流域において,砂漠からの熱風を防ぐ大防護林の育成,運河建設,ダムによる灌漑(かんがい)と発電などによって,広大な耕地を造成した開発事業は,この言葉の起源ともなった典型的な事例である。これに匹敵するものとしては,米国のTVA,中国の黄河・長江治水などがあげられる。しかし,自然改造に伴う生態系破壊公害の発生といった面が明らかになるにつれ,最近では〈自然改造〉の語はあまり使われなくなった。

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世界大百科事典内の自然改造の言及

【自然改造計画】より

…具体的には,ボルガ川流域における植林,ダム・水力発電所の建設,カラクム運河の開設等によって,自然災害の防止,農村の電化,耕地の拡大などを目指すものであった。ソ連における〈自然改造計画〉の主旨は,資本主義的な開発が一面的で,しばしば資源の略奪・疲弊をもたらすのに対し,社会主義における計画的・総合的開発計画は自然を略奪することなく改良・改造できるというところにあった。このような考え方は一時期大きな影響力をもち,エジプトのアスワン・ハイ・ダムや中国の淮河(わいが)治水事業をはじめ,アジア・アフリカ諸国でいくつかの計画が立案・実施された。…

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