日本大百科全書(ニッポニカ) 「自由労働組合」の意味・わかりやすい解説
自由労働組合
じゆうろうどうくみあい
Freie Gewerkschaften ドイツ語
ドイツ社会民主党系の各種労働組合の総称。1890年社会主義者鎮圧法撤廃後、上部組織として結成されたレギーンCarl Legien(1861―1920)を長とするドイツ労働組合総委員会のもとに結集し、統一的方針をもって順調な発展を遂げ、1913年には250万の組合員を擁して、党と並ぶ労働運動の主柱となった。勢力拡大とともに改良主義的傾向を強め、党の急進派と対立、第一次世界大戦中は、労働組合の地位上昇を期待して戦争政策に積極的に協力、敗戦と革命のなかで1918年11月、経営者団体との間で組合の承認を条件として現存経済体制の維持に協力するという中央労働共同体協定を結んで、革命の進展を阻止した。19年総委員会はドイツ労働組合総同盟(ADGB)へと改組され、20年のカップ一揆(いっき)に際してはゼネストで共和制の維持に努め、22年には780万の組合員を数えたが、以後勢力は下降、政策も消極的となり、33年5月ナチスによって解散を命じられ、ドイツ労働戦線に吸収された。
[木村靖二]