カップ一揆(読み)かっぷいっき(英語表記)Kapp-Putsch

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カップ一揆」の意味・わかりやすい解説

カップ一揆
かっぷいっき
Kapp-Putsch

1920年3月に、ベルリンで反動的政治家カップWolfgang Kapp(1858―1922)、国防軍第1軍団司令官フォン・リュトウィッツ将軍を中心として企てられた反共和主義的クーデター。彼らはベルサイユ条約に基づく兵力削減に反対し、同月13日、解散の対象とされていたエアハルト海兵団を先頭にベルリンを占領、新政府の樹立を宣言した。ワイマール共和国政府は国防軍に協力を求めたが拒否されたため、ドレスデン、ついでシュトゥットガルトに逃れた。労働組合がゼネストでカップに抵抗、民主党もこれに協力したので、右翼政党や国防軍もカップを見放し、17日、一揆は失敗に終わった。しかし一揆は共和国の弱体性と国防軍のもつ意義浮き彫りにし、政治上大きな影響を残した。

[松 俊夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カップ一揆」の意味・わかりやすい解説

カップ一揆
カップいっき
Kapp Putsch

1920年3月 12日ドイツ帝政派による不成功のクーデター。保守派の W.カップを中心に国防軍の一部が共和政と民主憲法廃止を唱えて反乱を起し,ベルリンを占領,新政府の樹立を宣言したが,労働者のゼネストによってベルリンは麻痺し,一揆はわずか5日間で崩壊した。

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