日本大百科全書(ニッポニカ) 「自由法運動」の意味・わかりやすい解説
自由法運動
じゆうほううんどう
Freirechtsbewegung ドイツ語
裁判官には法発見のために制定法からの自由を与えるべきだという自由法論に基づく法学上の運動。ドイツのヘルマン・カントロウィッツ、オイゲン・エールリヒ、フランスのフランソア・ジェニーなどがその代表者である。そのうちの穏和な主張は、制定法はさまざまな幅の解釈を許容しているから、そのうちの何を選ぶかは裁判官の「自由な法発見によらざるをえない」と説く。過激な主張は、裁判官は判定法を超えても自由に法(正義)をみいだすべきであるとしているが、その場合には、法治国原理を揺るがす主張として「感情法学」などと批判されることがある。また、自由な法発見のためには社会に目を向けなければならないとして、法解釈に法社会学的研究を導入する主張もある。
[長尾龍一]