舟状骨骨折(読み)しゅうじょうこつこっせつ(英語表記)Scaphoid fracture

六訂版 家庭医学大全科 「舟状骨骨折」の解説

舟状骨骨折
しゅうじょうこつこっせつ
Scaphoid fracture
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな外傷か

 舟状骨は、手首の関節面を作っている親指側にある楕円形の小さな骨です。この骨折は、手をついて転んだ時に発生します。

 あまり強い症状が出ないため、捻挫(ねんざ)程度と思いこみ診断が遅れることがあり注意が必要です。X線検査で見落とされることもあります(図14)。また、骨がつきづらい骨折です。

症状の現れ方

 親指を動かすと手首に近い親指の付け根の部分に痛みが出たり、その部位を押すと痛みが出ますが、あまり強い症状は現れません。受傷後しばらくしても仕事をすると痛みが出たり、強く手を握ると痛みが出る場合にはこの骨折の可能性があります。

検査と診断

 骨折の診断が難しいため、いろいろな角度からX線写真を数枚撮影します。CTやMRI撮影が必要となることもあります。

治療の方法

 ずれが少ない場合には親指から肘までギプス固定をしますが、6週間以上必要となります。ずれが大きかったり、受傷して時間がたっている場合には、ねじで骨折部を固定します。骨のつきが悪い場合には骨を移植します。

応急処置はどうするか

 三角巾などで手首を固定したうえで、氷などで冷やしながら整形外科を受診してください。

後藤 英司


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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