日本大百科全書(ニッポニカ) 「船積書類」の意味・わかりやすい解説
船積書類
ふなづみしょるい
shipping documents
積送貨物の財産権を完全に表すものとして国際貿易界で認められている商用書類。単に書類(ドキュメンツdocuments)ともいう。通常、送り状、船荷証券、および保険証券の三つの書類からなるが、仕向国により、これ以外に領事送り状、または税関送り状、さらに原産地証明書などを必要とすることもある。
送り状は正式には商業送り状commercial invoiceといわれ、荷送人が荷受人(荷主)にあてた貨物の明細書であり、計算書であり、請求書であって、保険契約の際にも輸入通関の際にも絶対に必要な書類で、ビジネス上輸出契約を遂行した証左である。また船荷証券bill of lading(B/L(ビー・エル)と略称)は、(1)船会社が貨物受領の証として発行する受取書であり、同時に貨物の引換証でもある(実務上は、船会社が運賃の精算後、船荷証券と引き換えに発行される荷渡し指図書と引き換えに、貨物が引き渡される)。(2)船会社と荷主との間に結ばれた運送契約を立証する書類であり、(3)船荷証券はそれを裏書きし、引き渡すことによって第三者に譲渡できる物権的有価証券でもある。
またCIF(運賃・保険料込み値段)条件の契約においては海上保険証券もしくは証明書marine insurance policy/certificateも船積書類の重要な一部を構成する。なお船積書類は一括して荷為替(かわせ)(荷付き為替手形)documentary bill (of exchange)/documentary draftの担保物権となり、契約品の受け渡しや売買にも利用され、またとくにCIF条件の貿易契約では、売り手の契約品の引き渡しも、買い手の代金支払いも、この船積書類の授受だけによって履行される。
[鳥谷剛三]