茂木氏(読み)もてぎうじ

改訂新版 世界大百科事典 「茂木氏」の意味・わかりやすい解説

茂木氏 (もてぎうじ)

下野の中世武家。鎌倉幕府の有力御家人で,常陸の守護職を世襲した八田氏の一流。1192年(建久3)八田知家が下野茂木郷の地頭職に補任されたことにより,三男知基が茂木に移り住み,姓を茂木と改め初代となった。茂木氏の在地支配の拠点は茂木城(桔梗城)。承久の乱の軍功により紀伊加太荘の地頭職を得た。南北朝時代は一貫して足利方に属し各地を転戦した。この間,南朝方の攻撃で茂木城を焼失したり,近隣の在地領主によって茂木荘内を押領されたりしたが,よく所領を保持し続けた。小山義政の乱には鎌倉公方の手に属し,結城合戦(1440)のさいには足利義教方として活躍した。文明年間(1469-87)には,約100人の家臣団の存在が知られている。一族のみならず,村落上層の地侍層を家臣団化したものであろう。戦国期には初め那須氏に,のち佐竹氏に属した。1595年(文禄4)佐竹義宣により常陸小川城へ移され,佐竹氏の出羽転封にともない,茂木氏も横手へ移った。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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