茶馬貿易(読み)ちゃばぼうえき(その他表記)cha-ma-mao-yi; ch`a-ma-mou-i

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「茶馬貿易」の意味・わかりやすい解説

茶馬貿易
ちゃばぼうえき
cha-ma-mao-yi; ch`a-ma-mou-i

中国で,外国馬の輸入のために,自国産の茶をその交換品に用いた官貿易をいう。古来牧馬に適さない中国では,馬を北西辺境地帯の蕃族から輸入しなければならなかった。輸入に際し,古くは対価として絹が用いられたが,宋代には茶が用いられるようになり,これが茶馬貿易の始りである。江南四川など重要産茶地を得た宋朝は,榷茶法 (かくちゃほう) という茶の専売を行なって利益を独占した。この国家管理下の茶を馬と交換することにより茶馬貿易は盛況となり,明・清代に及んだ。なお,北西辺の諸民族には甲状軟骨肥大という風土病があるが,茶を飲めば予防できるといわれ,茶への欲望が大きかった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「茶馬貿易」の解説

茶馬貿易(ちゃばぼうえき)

絹馬(けんば)交易

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世界大百科事典(旧版)内の茶馬貿易の言及

【専売】より

…ただ,茶の場合,西北方諸民族への貿易品という性格もあり,塩と異なった部分もみられる。たとえば四川の茶は,青海地方の青唐族から馬を買い入れる茶馬貿易に使うため,時期によって政府が恣意(しい)的に自由販売,専売を交互採用することや,西北辺防の軍駐屯への糧秣(りようまつ)の補給を商人にやらせ,その代価として茶の販売許可書(茶引)を支給することもあった。宋初は茶も,禁榷と通商法があり,園戸と呼ばれる生産者の管理もみられるが,大勢としては通商法が主流で,南宋になると,事実上は政府が全国の茶の総額にみあう専売税を特許商人から徴収する形に移行する。…

【歩兵】より

…漢の武帝が西域から手に入れた汗血馬を重宝したのも,王安石の保馬法も,馬の再生産がいかに困難であったかを示す。明代には異民族が望んだ茶を与える見返りとして馬を輸入し,この茶馬貿易は相当盛んに行われたことは有名であるが,これもまた中国で馬を飼育再生産ができなかったことを示すとともに,戦馬の獲得が王朝にとって非常に重要な事柄であったことを示している。【衣川 強】
【現代の歩兵】
 現代においても,歩兵部隊は攻撃力と防御力を併せもつので,他の兵種に比べて独立性がある。…

※「茶馬貿易」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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