改訂新版 世界大百科事典 「荷重軟化」の意味・わかりやすい解説
荷重軟化 (かじゅうなんか)
load bearing softening
耐火物が加圧下で熱せられるときに軟化変形する現象で,耐火物の重要な性質の一つである。耐火度は自重のみがかかった状態での軟化温度を示すものであるが,実際に耐火物が使用される窯炉においては,荷重がかけられた状態にある。荷重下での軟化変形は,耐火物の種類・性質などによって大きく変化するので,その性質を知るために,ふつう2kgf/cm2の荷重をかけて加熱し,軟化変形の状態を試験する。この荷重軟化試験をすると図のような曲線が得られる。加熱を始めるとまず耐火物の熱膨張によって上昇曲線となるが,やがて軟化が始まることによって水平となる温度をT1点といい,2%圧縮された点をT2点,20%圧縮された点をT3点という。また軟化変形せずに崩壊した場合には,その温度をT4点という。耐火物の安全使用温度はこの荷重軟化点を基準にして決められ,ふつうT1点以下である。長期使用する場合は,さらに100℃以上の安全をみて耐火物を選定する。
執筆者:西川 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報