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熱膨張 ねつぼうちょうthermal expansion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

熱膨張
ねつぼうちょう
thermal expansion

温度が上昇したときに物体の長さや体積が増加する現象。長さの増加を線膨張,体積の増加を体膨張といい,物体の熱膨張のしやすさの程度を表わす係数を膨張率という。夏の暑い日に鉄道のレールが曲ることがあるのは,レールが線膨張するためであって,これを防ぐためにレールの継ぎ目はあらかじめ少しすきまがあけてある。また,ひしゃげたゴムボールを暖めるともとに戻るのは,中の空気が大きく体膨張するからであって,空気の膨張率がゴムの膨張率よりはるかに大きいことを表わしている。一般に気体は膨張率が大きく,温度が高くなると熱膨張して比重が小さくなる。熱気球が上昇するのは,このためである。寒暖計や体温計は,ガラス管に封入された水銀や着色アルコールが温度の上昇・下降によって膨張・収縮し,管内の液面が上下することを利用して液面の高さから温度をはかる計器である。気体の膨張率は一定で大きいから,温度の精密測定には気体温度計が用いられる。

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デジタル大辞泉の解説

ねつ‐ぼうちょう〔‐バウチヤウ〕【熱膨張】

温度上昇に伴って物体の長さ・体積などが増加する現象。

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百科事典マイペディアの解説

熱膨張【ねつぼうちょう】

物体の体積や長さが温度の上昇,下降に伴って増加または減少する現象。熱膨張の仕方の大小は熱膨張率で示される。容器に入れた液体の液面上昇から測られる液体の体積増加は,液体の真の熱膨張から容器の熱膨張を引いた相対的な値で,これを見掛けの膨張という。
→関連項目温度計膨張

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世界大百科事典 第2版の解説

ねつぼうちょう【熱膨張 thermal expansion】

一定の圧力のもとで熱を加えて温度を上げると,物質の体積はほとんどすべての場合に増大する。これを熱膨張という。定圧下で物質の温度を1K(=1℃)だけ上げたとき体積がVからV+⊿Vになるとする。このときβ=⊿V/Vを体膨張率と呼ぶ。βの単位はK-1(または℃-1)である。同じ物質でも体膨張率は一般に温度,圧力によって変化する。熱膨張率,あるいは単に膨張率といったときにはこの体膨張率を指すことが多いが,固体では,1K上げたときの長さの変化の割合である線膨張率α=⊿l/lのほうがよく使われる。

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大辞林 第三版の解説

ねつぼうちょう【熱膨張】

物体の長さまたは体積が温度の上昇とともに増大する現象。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

熱膨張
ねつぼうちょう
thermal expansion

物体の体積が温度の上昇に伴って増加する現象。圧力一定のもとでの物体の熱膨張比率を温度変化に対する割合として表したものを熱膨張率という。これは一般に温度および圧力によって変化する。熱膨張比率を体積変化比率で表したものを体膨張率といい、次式で定義される。

ただし、Vはその物体の体積であり、Tは温度である。0℃における体積をV0として

とする場合もある。Vのかわりに物体の密度ρを使うと

とも書ける。固体においては、物体の長さLの温度変化を表す線膨張率

を用いることもある。等方性物質ではβ3αの関係がある。液体は固体に比べて約1桁(けた)大きい熱膨張率(絶対温度1K当り10-4くらい)をもっており、水銀やアルコールは温度計に利用されている。気体の熱膨張はさらに大きく、理想気体の体膨張率は、温度、圧力、および気体の種類によらずに、水の氷点の絶対温度の逆数に等しく、β=1/273.15(K-1)である。液体が容器に入れられている場合、その容器に相対的に示す熱膨張は見かけの膨張であり、温度変化dTに対する見かけの体積膨張をdVとしたときε=(1/V)dV/dTを見かけの膨張率といい、ε=β1-β2である。ただしβ1およびβ2はそれぞれ液体および容器材料の体膨張率である。[平野賢一・飯島嘉明]

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世界大百科事典内の熱膨張の言及

【フォノン】より

…熱伝導も,また,フォノンを介しての熱エネルギーの流れである。フォノンが関与する他の熱的な現象としては,熱膨張がある。温度が上昇して振動の振幅が大きくなると,原子間の相互作用ポテンシャルに変位の三次以上の項(非調和項)がきき始め,振動数は固体の膨張により少し小さくなる。…

※「熱膨張」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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