菖蒲酒(読み)アヤメザケ

デジタル大辞泉 「菖蒲酒」の意味・読み・例文・類語

あやめ‐ざけ【菖蒲酒】

ショウブの根を細かく刻んで浸した酒。邪気を払うため、端午節句に飲んだ。しょうぶざけ。 夏》

しょうぶ‐ざけ〔シヤウブ‐〕【××蒲酒】

あやめざけ」に同じ。 夏》「くちつけてすみわたりけり―/蛇笏

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精選版 日本国語大辞典 「菖蒲酒」の意味・読み・例文・類語

しょうぶ‐ざけシャウブ‥【菖蒲酒】

  1. 〘 名詞 〙あやめざけ(菖蒲酒)季語・夏 》 〔俳諧・毛吹草(1638)〕
    1. [初出の実例]「盃の行く末広の菖蒲酒(シャウブざけ)、これ百薬の長なれや」(出典長唄・菖蒲ゆかた(1859))

あやめ‐ざけ【菖蒲酒】

  1. 〘 名詞 〙 ショウブの根や葉を切って漬けた酒。五月五日端午の節句に用いた。邪気を払い、万病を治すといわれた。しょうぶざけ。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「菖蒲酒(アヤメサケ)ちまき」(出典:俳諧・寄垣諸抄大成(1695)四季之詞合類)

そうぶ‐ざけサウブ‥【菖蒲酒】

  1. 〘 名詞 〙しょうぶざけ(菖蒲酒)《 季語・夏 》 〔俳諧・増山の井(1663)〕

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世界大百科事典(旧版)内の菖蒲酒の言及

【ショウブ】より

…平安時代には,《枕草子》や《蜻蛉日記》に見られるように,五月節供に軒にショウブとヨモギをふいて魔よけのまじないとした。このほか,ショウブをまくらの下に敷いて寝たり,ふろや酒に入れて菖蒲湯や菖蒲酒にした。また貴族の間では,菖蒲蘰や菖蒲冑をつけ,腰には菖蒲刀をさしたり,〈菖蒲合せ〉といって根の長さを競って歌を詠む遊びも行われた。…

【端午】より

… この日,薬草を摘み,家の門には艾(よもぎ)で作った人形や虎,あるいは菖蒲(しようぶ)で作った剣をかけ,鍾馗(しようき)の絵や五毒(サソリ,ムカデ,ヤモリ,ガマ,ヘビ)を食っている虎の絵を貼って邪鬼の進入を防いだ。また菖蒲酒や雄黄酒(イオウを混ぜた酒)を飲み,無病息災を祈った。艾,菖蒲,雄黄などは,その香気や薬性によって邪気悪霊を払うことができると信じられたのである。…

※「菖蒲酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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