華胥の夢(読み)かしょのゆめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「華胥の夢」の意味・わかりやすい解説

華胥の夢
かしょのゆめ

よい夢のこと。中国最初の天子といわれる黄(こう)帝が、天下の治まらぬことを心配し、3か月もの長い間政治を断念していたある日のこと、昼寝をして理想郷に遊んだ夢をみた。この理想郷が華胥氏の国で、この国では何年も自然無為、民人は無欲で、生死にも心を煩わされず、物に執着することもなく、空を自由自在に飛行するなど、すべてに超然としていられる楽しい国であった。夢覚めてのち、黄帝は大いに心に悟るところがあり、以来、天下がよく治まるようになった、とある『列子』黄帝篇(へん)の故事による。「華胥の国」は理想郷の異称でもあり、転じて「華胥の国に遊ぶ」といえば、よい気持ちで昼寝をすることをいう。

[田所義行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排他的経済水域

略称 EEZ。沿岸国が水産資源や海底鉱物資源などについて排他的管轄権を行使しうる水域。領海を越えてこれに接続する区域で,領海基線から 200カイリの範囲をいう。沿岸国は,水中ならびに海底と地下の天然資...

排他的経済水域の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android