萩藩主毛利家墓所(読み)はぎはんしゅもうりけぼしょ

国指定史跡ガイド 「萩藩主毛利家墓所」の解説

はぎはんしゅもうりけぼしょ【萩藩主毛利家墓所】


山口県萩市と山口市香山町にある墓所。萩(長州)藩主毛利家の墓所は、大照院(萩市椿)隣接地と東光寺(萩市椿東(ちんとう))隣接地にあり、歴代藩主は大照院と東光寺の両方に交互に葬られている。大照院墓所には初代藩主毛利秀就(ひでなり)以下、2代綱広(つなひろ)から12代斉広(なりひろ)までの偶数代の7藩主夫妻の墓がある。夫妻の墓は高さ4.5mと大型で、花崗岩製の五輪塔形。また玄武岩製の石柱玉垣がめぐらされ、参道にはそれぞれ鳥居が立つ。墓所内には600基余りの石燈籠が立ち並ぶ。東光寺墓所には3代藩主毛利吉就(よしなり)から11代斉元(なりもと)までの奇数代の5藩主夫妻の墓がある。墓は花崗岩製の唐破風(からはふ)笠石付方柱形で、墓石には法号が、笠石には藩主夫妻の場合には沢潟(おもだか)紋が刻まれている。石柱玉垣がめぐらされ、参道にはそれぞれ鳥居が立っている。墓前には500基余の石燈籠が立ち並ぶ。天樹院墓所(萩市堀内)は実質的な初代藩主であった毛利輝元(てるもと)の墓所で、以前は輝元の隠居所四本松邸があったが、輝元の死後菩提寺となった。五輪塔形、花崗岩製の輝元夫妻の墓、秀就火葬跡が残っている。1869年(明治2)に廃寺となり、墓所だけが残っている。また、山口市の瑠璃光寺の周辺一帯を整備した香山公園には、13代敬親(たかちか)夫妻、14代夫妻、15代夫妻など7基の墓があり、香山墓所と呼ばれている。これらは近世大名墓所の代表的なものであり、大名の墓制葬制を知るうえで重要である。境内地を含めた大照院の墓所、同じく東光寺の墓所、旧天樹院の輝元墓所、香山墓所の4ヵ所が、萩藩主毛利家墓所として1981年(昭和56)に国の史跡に指定された。大照院へは、JR山陰本線萩駅から徒歩約15分。東光寺へは、同駅からコミュニティバス「東光寺前」下車、徒歩すぐ。天樹院へは、同駅からコミュニティバス「天樹院入口」下車、徒歩すぐ。香山墓所へは、JR山口線山口駅から防長バス「香山公園五重塔前」下車、徒歩約3分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報